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エッセイ・コンクール

第2回エッセイ 過去の受賞作品を紹介いたします

厚生労働大臣賞・最優秀賞

我が家は緊急保育園!? 辻真帆【東京都】

 それは一本の電話から始まりました。長男三歳、長女まもなく一歳。長女の育児休業中の事です。「今日うちの娘のお迎えをお願いしたいんだけど。どうしても仕事が終わらなくて……」長男が通う保育園の同級生、Sちゃんのママの申し訳なさそうな声。「任せといて!」一瞬脳裏に不安もよぎる。「よその子預かって大丈夫かな?」でも次の瞬間「どうにかなるさ!」そして肉じゃがはシチューに変身、ご飯はパスタに姿を変えてお待ちかね。
 保育園から帰るといつもなら兄妹二人「ダッコー」だの喧嘩だので夕食のしたくもままならないけれど、Sちゃんが入り三人が程よい緊張感を持って遊んでいる。たくさん食べてくれると嬉しいし、子供たちで入るお風呂はプールと化す。後からママも合流して思いもかけずおしゃべりタイムのご褒美まで。なあんだ、堅苦しく考えることないじゃない。
 程なくして私も会社に復帰。慌しい毎日が始まり今度は私が「今日お願い!」と頼むことに。こうしてピンチのときに子供がお互いの家を行き来するようになったのです。
 更にしばらくするとSちゃんに弟が誕生します。お母さんが出産で入院中は他の同級生のお友達と交代でSちゃんを預かり、なんと若干四歳で我が家に一人でお泊りまでしたSちゃん。なんだかもうよその子という感じがしません。夫もSちゃんが来る日はいそいそと早く帰ってきて絵本を読んだり人間ジャングルジムになったりと大活躍です。
 ワーキングマザーなんて家と会社と保育園の三角形をぐるぐる回っているだけだと思っていた。入園して一、二年は顔と名前が一致しないし保育園で会うお父さんお母さんはお互い忙しそうで挨拶程度。保育園でママ友なんて無理! 寂しいけどそういうものなのよ、そう思っていた。
 それでも二年目を過ぎる頃から徐々に帰り際に立ち話をしたり転園する子供の送別会をやったりしているうちにメール交換をするようになり、とうとうこんな緊急シッターまでできるようになってしまった。
 へええ三角形だけじゃないんだな。こうやってどんどんひろがって五角形になり十角形になっていけばいいな。
 もちろん、いつでも気軽に頼めるシッターさんがもっと普及するとか、病児保育が増えて欲しいとか、子育ての状況により柔軟な勤務形態を選択できる制度の確立とかいろいろ要望希望はあるのです。でも「今日は○○ちゃんちで待っていてね。」なんて言えば子供も嬉しいし親も安心。預かる方も普段なかなか見られない子供同士の関係が見られて得した気分。
 そんな我が子同様の保育園児がどんどん増えていきそうで嬉しい今日この頃なのです。

【受賞の言葉】
 その後も本稿主役のSちゃんはじめ、息子のクラスメイト達は毎日泣いたり笑ったり兄弟のように育っています。そんな日常の出来事が思いもかけず立派な賞となり感謝の気持ちでいっぱいです。慌しい生活を送っていますが、保育園は親だって楽しい!と実感しつつ皆様にもそれが伝わればうれしく思います。


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