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女性研究者への支援

第2回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

吉良智子【千葉大学大学院 社会文化科学研究科】

近代日本における女性美術家の連携と戦争参画に関する研究

 アジア・太平洋戦争期には、男性画家を中心とした陸軍美術協会などが結成され著名な画家もいたために、戦争とのかかわり方がある程度認知されている。一方、女性の洋画家の間でも女流美術家奉公隊が結成されていたが、あまり知られていない。もともと社会的な地位の低かった女性美術家たちが、戦争に参与する形でその存在感を高めようとしたことや彼女たちの手による共同制作の検証などを行いたい。ほかに研究する人がほとんどいない分野なので、資料の収集などにも困難があるが、2年間で一定の成果を出し、今後につなげていきたい。

【受賞の言葉】
 このたびは助成対象者に選んでいただき、誠にありがとうございました。出産・育児をしながらの研究生活にとまどいを感じておりましたが、今回の受賞によって自分の研究をあきらめずに続ける方向へと大きく背中を押してもらった気がします。実りある研究成果が挙げられるように努力いたします

受賞後の様子

「同じ立場にある若い女性研究者の励みになりたい」  助成金によって研究に必要な環境が整備され、予定より1年早く博士論文を提出できました。受賞後は大学のホームページ等で取り上げていただきました。また、幸運なことに長女の保育園入園が決まりました。当初は母親である私が、博士課程の院生であるという、他の大勢のお母さんたちとは異なる事情で、娘を保育園に通わせることにためらいを感じていました。しかし今では、助成金をいただいていることが、研究者としての私を大きく支えてくれる柱のひとつになっています。 大学には、私と同じように育児をしながら研究に取り組んでいる女性の院生が大勢いますので、微力ながら同じ立場にある若い女性研究者の励みになれればと思っています。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 2010年3月、千葉大学に提出した博士論文「近代日本の戦時美術と女性―女性美術家のネットワーク構築と表現活動をめぐって」が、教授会での審査の結果合格し、博士号を授与されたことが大きな成果です。助成金をいただく前は、子どもの養育のために、博士課程を退学しようと考えておりましたが、助成金のおかげで子どもの養育環境が整い、学業を継続することができました。さらに、「研究を継続する」という私の選択に自信も与えてくれました。もし今後研究を諦めそうになったときは、助成をいただけたことを思い出して、努力していきたいと思います。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 助成金を活用して第一子を保育園に通わせることができました。娘は当初、母親から離れるのを泣いて嫌がっていたため、私もつらかったのですが、3歳になった今では、お友達もでき、毎日楽しく通園しております。 また、2010年11月に第二子となる息子を出産しました。家族が増える喜びは何にもかえがたいものです。助成金があったからこそ、余裕をもって研究も出産も同時進行できたのだと思います。
◆女性研究者の環境改善
 特に人文系の場合、研究は個別に進めることが多いので、同じような立場にある女性研究者との交流の機会が少ないと思います。孤立してしまうことで研究に対する意欲が失われてしまうことも多いので、育児をしながら研究を続ける女性研究者の集いがあればよいと思います。


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