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女性研究者への支援

第2回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

田崎直美【お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科研究員】

被占領からの復興の記憶 フランス第四共和政期パリにおける音楽活動状況の検証

 フランス政府が1959年から文化の民主化政策を積極的に推進したことは、比較的知られている。しかし、そこに至るまでの間、特に、第二次世界大戦とその直後の急激な政変( 占領・解放) による価値観の混乱期を経て、人々はいかに文化の民主化( 大衆化) の必要性へと立ち返ったのか。本研究ではこれまで「証言」の少なさゆえ、振り返られなかった芸術音楽分野を対象として、パリを拠点とする当時のさまざまな音楽活動記録の調査より、この一過程を具体的に検証する萌芽的な研究である。

【受賞の言葉】
 今回の受賞は、女性の多様な生き方を認めていただけた印として大きな励みとなりました。国外調査を伴う研究と育児との両立には物理的・精神的困難が付きまといます。しかし、支えてくださる方々への感謝の念を胸に、子どもに希望を与え、社会に貢献できる研究活動を行いたいと思っております。

受賞後の様子

「研究への理解が身近なところで広がりました」
 5歳の娘は幼稚園とその延長保育にも慣れ、日々楽しみながら成長しています。本助成金があるため、いざという時にはヘルパー等のサポートをお願いすることができる、ということが、精神的に大きな支えとなっています。 これまでは、「事業者」または「雇用者」という形で仕事をしていない母親が子どもを保育所に預けることに対して、必ずしも周囲のすべての人が理解を示してくれたわけではありませんでした。しかし、新聞に受賞記事が掲載されたおかげで、さまざまな形の社会貢献があるという理解が身近なところで少し広がった気がします。 所属する研究機関でも、学内報で受賞報告が行われ、同じ立場の同僚(育児中の女性研究者)はもちろんのこと、卒業後も研究活動を続けたいと考えている若い人たちへの大きな励みとなったことを実感しました。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 この二年間に、基礎資料収集の目的で、海外調査に計三回行くことができ、中間発表という形で複数の学会・研究会で発表させていただくことができました。成果はひとまず『人文科学研究』(お茶の水女子大学) への論文投稿という形で昨夏にまとめました。
 この二年間でようやく研究の土台ができたので、今後はこれをもとに、慎重に考察を進めていきたいと考えています。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 助成金のおかげで、今年4月に小学生になった娘と海外渡航中に国際電話でじっくり話をすることができ、かつてのように母親不在時に娘の情緒が不安定になることがなくなったことは、特に嬉しいことでした。また、身近で全面的に協力してくれる夫の存在も忘れられません。本助成は、「研究協力者」である身内の負担を軽減することにも役立ち、研究環境の改善に非常に重要な役割を担ってくれました。
◆女性研究者の環境改善
 子育てをしながら仕事を続ける女性の立場および問題点が現代社会では徐々に注目され、改善策が議論されています。ところが研究の場合、直接的あるいは短期的には経済活動に結び付かない場合も多いため、こうした議論の外に置かれているのが現状です。研究は社会貢献という視点からすれば仕事とまったく同じであることを、本プロジェクトのような活動を通して多くの人々に知っていただくことが、女性研究者の環境改善への第一歩と感じています。


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