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女性研究者への支援

第3回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

伊東 あゆみ【お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科】

日本語学習者の読解における協同的活動の効果の検証

 第二言語・外国語としての日本語教育の分野では、近年協同的な学習(ピア・ラーニング)が注目され、多く実践されるようになってきている。読解授業を対象にした実践研究は増えつつも、どのような協同的な活動が理解にどのように影響するかという視点での実証的研究はまだ少ない。本研究は、(準)実験的な研究方法を用い、協同的な学習での読解過程とその効果を検証することを目的とし、読解研究のみならず、教育現場にも貢献していきたい。さらに一人の日本語教師として、研究的視点を持った実践のあり方も考えていきたい。

【受賞の言葉】
この度は、助成対象に選んでいただき、とても嬉しく思っております。夫が海外赴任中のため子育てを1人で担い、そんな中乳がんも経験し、今回のことは「それでも、研究を続けていいんだよ」「あきらめなくてもいいんだよ」と背中を押してくれるものとなりました。この「プロジェクト」をはじめ様々な形で子育て支援に力を尽くして下さる方々に、感謝いたします。

受賞後の様子

雛祭りに  助成金の受賞に関し、後日、表彰式当日に取材を受けた「千葉日報」に写真入りの記事が掲載されたり、大学のHPと学生向けメールに受賞が告知されたりして、改めて身の引き締まる思いをしました。6月に乳がんの遠隔転移が見つかったこともあり、この年齢で賞状をもらったことが、家族には「いい記念」と受け止められたような気がします。
 研究の方は、長期間の入院など治療に専念せざるを得なかったので、予定通りにはいきませんでした。現在は、以前収集したデータを分析し研究論文としてまとめ、投稿先の査読結果を待っているところです。
 母親が長期間不在となっても、2人の子どもたちは心身ともに元気に過ごしていました。家の手伝いをよくやってくれます。子どもに関しては「育てる」というより「(自ら)育つ」というのを目の当たりにしています。

助成期間を終えて

 病気と闘いながら意欲的に研究に取り組まれていました伊東あゆみさんは、まことに残念ながら2011年5月に永眠されました。心よりご冥福をお祈りいたします。 伊東さんのご主人より、助成期間における子育て・闘病・研究継続に関して、お手紙を頂戴いたしましたのでご紹介させていただきます。

 妻は2008年から乳がんを患い、手術や抗がん剤の治療を行ってきましたが、2010年に再発してしまいました。その後、入退院を繰り返しながら闘病し、幾度も奇跡的な回復をとげ頑張ってまいりましたが、2011年5月に他界いたしました。  妻は乳がんを発症した後の受賞を大変喜んでおり、「子育てしながら研究を続ける自分の背中を押してくれる人がいる、勇気をもらった。すごいことが起こった!」と、当時私が赴任していたベトナムにうれしそうにメールしてきたのをよく覚えています。再発後も入退院を繰り返しながらも少しずつ研究を継続し、病室にも資料を持ち込んで論文を読んでいたようです。研究者であり続けることや子どもたちにいつまでもかっこいい母親でありたいと思うことが生きる意欲につながっていたように思えます。  妻が闘病生活の中で子育てと研究や仕事を続けられた理由の一つが、本プロジェクトの助成を頂いている研究者という自負であったかと思われます。闘病の中、支援を頂いたことで妻が妻らしく時間を過ごせたこと、夫としてありがたく感謝に耐えません。志半ばで研究を継続できなかったことは妻も残念で、悔しく思っていることと思いますが、最後の研究論文が完成し、2011年6月にお茶の水女子大学日本言語文化学研究会より発刊されたことを2年間の最終報告とさせていただきたいと思います。今後もこの支援が子育て世代の研究者の勇気につながり、それが健やかな子育ての未来につながることを祈念いたします。 伊東俊英 (2011年8月1日)

※伊東様のご了承を得て掲載しております。

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