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女性研究者への支援

第3回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

楜澤 令子【日本女子大学大学院 人間社会研究科博士課程後期】

子育てにおける葛藤場面ストーリー作成と負の感情生起の検証

 子育ては、子どもに対する愛おしさや親自身の自己成長を感じることがある一方、イライラや大変さを感じることもある。これは自身の子育て体験で実感し、乳幼児とその親とを対象にした心理臨床経験で共感するところであるが、今回の研究では、特に子育てにおける負の感情に注目し、この負の感情が生じるエピソードを実験的に取り上げる。実験で生じる不安感情や怒りの感情に焦点をあてることで、虐待やうつ的な状況が生じる要因や、予防教育的視座を探ることが本研究の目的である。

【受賞の言葉】
子育てに関わる心理臨床活動を経て、自らの出産を機会に再 び研究の道に戻りました。したがって、臨床活動で得た経験 と学問的研究を融合させていくこと、また、自らの出産や子 育ての体験を研究に十分活かすことが、私の課題であると考 えています。研究は斬新な創造性とコツコツ積み上げる持久 力とが必要と思いますが、今回の助成は、精神的にも経済的 にも心強いバックアップになると思います。今まで支えてくだ さった方々に感謝を忘れず、助成は研究への期待と考え、邁 進したいと思います。この度は誠にありがとうございました。

受賞後の様子

 この受賞を喜び、研究や仕事をする私を理解し、自分の仕事の合間をぬって子育ての応援もしてくれた母が、秋に他界してしまいました。元気だった母にあまりにも短い余命が告げられてから、死期が近づく現実に大変辛い毎日でしたが、帰省先から仕事や研究へ出かけたり、帰省先でも一時保育をお願いすることができたり…と、この助成が精神的にも経済的にも支えてなってくれていたと、大変感謝しております。5歳になる娘は、私とともに母を看取りましたが、「おばあちゃんはそばにいるよ」と時々励ましてくれています。研究成果としては、学術論文の採択や博士号取得(3月予定)など順調に進んでいますが、助成の存在は大きく、子育てしながら今後も研究への姿勢を崩さず進みたいと思っております。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 「心理学博士号を取得する」という目的をもって、出産後再入学した博士後期課程。博士号取得には、「学術雑誌への採択論文2本と紀要等論文」という基準を満たさなければなりませんでした。時間制限のある中、効率的に論文を書くために、研究のための時間と研究資金、さらには、時間捻出のための保育(時間・料金)が必要でした。その資金面を本助成により2年間支援していただいたことで、精神的にも資金的にも大変恵まれ、念願の心理学博士号を取得することができました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 大学院に復学した頃は、娘が体調を崩して研究を中断することがありました。研究は自分なりに時間調整できますが、仕事はそうはいきません。「発病しないだろうか」といつも危機感を持っていたように思います。娘が3歳を過ぎてからは、体も丈夫になってきたことを実感、子育ても楽になったように思います。そんな中、本助成をいただくことができたので、保育と研究に時間をつくることができました。研究として形の残るものに、娘がいつか興味を持ってくれるときがくるとうれしく思います。助成が終わった3月に娘は保育園を卒園し、4月から親子ともども新しい環境に入りました。今回の助成が娘の幼児期と私を支えてくださったと思います。ありがとうございました。
◆女性研究者の環境改善
 文系研究の価値を高めていくことは、今後私たちの課題だと思います。女性研究者だからこその視点をもって研究を進められればと思います。一方、安心して研究を続けていくためには、子どもを安心して預けられる環境(身近なところで保育できる、子どもが体調を崩した時に対応できる体制づくり、保育料金など)が整備されることが必要と思われます。


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