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女性研究者への支援

第4回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

大村 華子【京都大学大学院 法学研究科 博士後期課程】

日本政治における社会保障政策と世論の関係

 少子高齢化が進み、社会保障政策の充実が多層的に必要とされている現在、市民の福祉充実への期待が政府によって実現されてきたのか、また、そのメカニズムがどのようなものであったかを分析することは、重要な意義を持つ。これまでは、戦後の日本政治に注目し、有権者の政策への期待が、政府の政策として実現されてきたのかを実証する作業に取り組んできた。今後は、福祉充実に関する有権者世論の特定や、社会保障費との関係の分析も加えて、計量分析に取り組むことを予定している。そして、日本における社会福祉の充実を求める世論に対して、政府がどの程度応答してきたのかを明らかにしたいと考えている。

【受賞の言葉】
 大学院生の夫と育児を続けながら、家族の介護にも携わり、経済的にも、精神的にも疲弊していた中で、本助成にご選考いただいたこと、心より感謝しております。女性研究者が多いとはいえない私の専攻分野では、女性同士「肩身が狭いよね」といった話題もしばしばです。今後は、本助成を受けての研究や子育ての話を共有しながら、少しでも女性研究者のすそ野を広げていければと思っています。

受賞後の様子

 経済的に負担の大きいベビーシッターを利用することができたこと、それにより育児と研究を両立させることができたのは、本助成があったからこそと感謝しています。研究を行う環境が整ったことで多くの実りを得ることができました。まずは、初段階の研究成果を博士論文にまとめました。その成果は今春、単著として刊行されることも決まっています。次に2011年4月から、京都大学法学研究科の助教として採用され、現在に至っています。そして最後に、女性研究者として、学内外の女性研究者支援のセミナーに呼んでいただけるようになりました。本助成の意義をアピールする中で、研究者としての進路に戸惑いを覚えていた幾人かの女性研究者の方に、将来への望みを持っていただけるようになったことが何よりうれしいことでした。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 助成によってベビー・シッターを利用することができ、第二子の長男を妊娠中に第一子の長女の保育をしてもらいながら、就職活動にも集中することができました。その甲斐もあり、2013年4月から関西学院大学の専任講師として赴任することが決まりました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 助成期間中は長女の育児をベビー・シッターにお願いしてきましたが、子どもたちも成長し、私の仕事量もこれまで以上に増える中、長女と長男を共に保育園に入園させる必要が出てきました。しかし、その過程で直面したのが保育園不足・待機児童の問題です。 当初、長女の保育園内定が出ず、認可外の保育園の利用を考えなくてはならないといった事態が起こりました。最終的に他の方のキャンセルなどがあり、入園できることになりましたが、保育園の問題の深さを肌身で感じることになりました。
◆女性研究者の環境改善
 女性の社会進出の方法が議論されることは多いですが、それは男性の生き方の変化と対になって検討されなくては意味がありません。私のまわりでは、多くの男性が非常に積極的に家事・育児に参加し、働く女性をサポートしています。現在の女性研究者支援という制度は、大変意義深いものでありますが、それに加えて、育児に積極的に参加する男性研究者に対しても、何らかのサポートがなされるようになっていけば、女性研究者の活動時間を確保していく環境が整うようになると思いました。


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