ホーム > 住友生命について > 住友生命のCSR > 豊かな社会づくり > 少子化・子育て > 未来を築く子育てプロジェクト > 女性研究者への支援 > 第4回受賞作品

女性研究者への支援

第4回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

崎原 千尋【ハワイ大学大学院 アメリカ研究学部 博士課程】

アメリカ人女性と沖縄:近代沖縄と戦後沖縄を比較して

 本研究は1920年代にアメリカ人宣教師の妻として沖縄に滞在したアメリカ人女性の日記をもとに、近代沖縄におけるアメリカ人女性に関する記録を掘りおこし、戦後沖縄におけるアメリカ人女性についての研究をより深めるものである。戦後沖縄には、統治者の妻として多くのアメリカ人女性が滞在した。沖縄の女性たちがアメリカ人女性たちとの出会いを通じて何を学び、どのような交渉を経験し、変容していったのかを、女性史および文化交渉の文脈の中で考えながら、沖縄戦によって分断された近代沖縄と戦後沖縄という時代を女性を通して比較し、アメリカ女性史研究を沖縄という視座から分析したいと考える。

【受賞の言葉】
 子育てを研究が続けられない理由にはしたくない、そう思いながらも厳しい現実に向き合う数年でした。夫の闘病も重なりつらい時期もありましたが、本プロジェクトの募集を見た時には、私にもがんばれるチャンスがあると、それだけで大きな希望と勇気が持てました。何よりも夫をはじめ家族やアドバイザーの先生方、恩師が励まし続けてくれたことが、2度の応募と今回の受賞につながったと思います。

受賞後の様子

 狭い島社会ですので、このたびの受賞が地元紙で紹介されると、家族、親戚、職場が大騒ぎになりました。そして最も大きな変化は、ハワイ大学に正式に復学することができたことです。受賞をきっかけにして「子育てをする研究者がいてもいいんだ」という新たな価値観を、多くの方に伝えることができたのではないかとも思っています。大学での仕事に加えて、那覇市主催のうないフェスティバルの共同実行委員長就任など地域実践への参画にも挑戦し、多忙を極めてしまいましたが、夫や母を始め周りの方のサポートと、子どもの「おしごとがんばってね」の声に励まされています。講演会や実行委員会、勉強会等には、できる限り夫と子ども同伴で参加するなど、家族で過ごせる時間を大切にしたいと思っています。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 受賞が地元で報道されたことで、これまでの研究や経験を地域活動として沖縄に伝えてほしいという声をいただき、地域貢献活動に参加しました。そうした活動の中で、同じ女性研究者同士の研究会や共同研究の機会も増え、地域と繋がり、学び、また貢献していく形の研究を改めて志すようになりました。今までの事務職を含む研究支援員の仕事から非常勤講師に転職でき、研究する時間も少しずつ増やせるようになりました。受賞前では考えられないような、研究者としての環境を整える事ができました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 転職したことによって、規定の就労時間に満たないため、継続保育が難しいと市役所から連絡がありましたが、授業料が払えていたおかげで「在学証明」が取得でき、また「子育てをする研究者を対象とした正式な助成を受けている」ということで、市役所を説得して認可保育園での保育を継続することができました。生まれてからずっとお世話になっている保育園で卒園することができたことは、本当にありがたいことだったと考えています。
◆女性研究者の環境改善
 市役所で認可保育園の継続申請をするにあたり、やはりまだまだ女性研究者の現状が社会に伝わっていないと実感しました。しかし、その過程で市役所の方や担当教官、また職場の上司や周りの女性研究者の方々とこの問題について話し合ったことは、現状を意識してもらうきっかけになったのではないかと思っています。一方、大学や研究機関などでは女性研究者が少ないということで、積極的に女性を雇用しようという動きがあります。これからは、女性が母親となりながら「研究者として研究する」という事が、単なる趣味やステップアップの活動だと認識されないように前例を作っていくことが重要だと感じました。


ページの先頭へ戻る