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女性研究者への支援

第5回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

齋藤 優子【東北大学大学院国際文化研究科・国際環境システム論講座 博士課程後期】

廃棄物資源化行政における政策決定プロセスに関する研究―都市鉱山事業と災害廃棄物処理政策の日韓比較を中心に―

 これまでの日本の廃棄物政策は、都市鉱山事業の推進にみられるように「高品質の資源を集め、最新技術を駆使してリサイクルする」循環型社会の形成を目指すものであった。しかし昨年の震災により、被災自治体では公衆衛生の水準確保を第一目的とする、いわば廃棄物処理の原点に回帰する形となった。本研究では、上記二つの廃棄物政策の視点から、日韓両国の廃棄物に関する政策決定プロセスの比較を行う。地方自治の主導性、社会的ステークホルダーの関わり方など、日韓の廃棄物政策の特徴と相違点を明らかにすることにより、今後目指すべき廃棄物政策の方向性を示す萌芽的研究を行う。

【受賞の言葉】
 震災後、研究を諦めざるを得ないと思った時期もありましたが、助成決定の知らせを聞き、研究継続に向けて大きな力をいただくことができました。日々サポートしてくれる家族はもとより、日頃ご指導くださっている先生、調査研究にご協力いただいている方々、そして温かい手を差し伸べてくださる地域の皆様の恩に報いることができるよう、これからも研究を通して「東北で生きる意味」を問うていきたいと思っています。

受賞後の様子

 2012年度博士論文を提出することができました。私の研究テーマである都市鉱山事業関連では、山形県酒田市における使用済み小型家電の排出実態調査を踏まえ、採算性シナリオ分析等を行いました。災害廃棄物処理に関しては、中間処理施設の調査を実施しました。
 私の環境の変化としては、何と言っても睡眠時間の確保です。以前は夜中・早朝の研究で、体力的にも精神的にも限界を感じていましたが、日中集中して研究し、効率も大幅に向上しました。また、子どもたち・夫も協力的になってきました。例えば、自分たちだけでお風呂に入ろうとしたり、洗濯物を畳むのを手伝ったりすることは、これまで見られなかったことです。「お母さんも頑張っている姿」を見せることができたことは、子どもたちにも影響があったようです。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 子どもの入院、震災、夫の転勤等、これまで私の研究生活は何度も窮地に陥り、子育てと研究の両立に苦しみ、自分の研究続行に「後ろめたさ」を感じた時期もありました。しかし本助成により大きく背中を押していただいたことに心から感謝しています。助成を受けたことにより国内外の現地ヒアリング調査、研究を積極的に行うことが可能となり、助成1年目は、そのデータをもとに博士論文をまとめ上げることができました。助成2年目は、自分の研究を社会に情報発信することの重要性を痛感しました。韓国調査・国際学会での発表も経験でき、研究活動のフィールドを大きく広げることができました。今は、本助成と根気強くご指導くださった指導教員の先生への感謝の気持ちでいっぱいです。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 本助成を受ける前は、夜中・早朝に文献調査・執筆活動をし、日中育児に勤しんでいたため、体力的にも精神的にも追い詰められた状況でした。しかし本助成により、子どもを保育園に預けられるようになり、睡眠時間を確保しながら日中効率的に研究を行うことができるようになりました。助成1年目には博士論文執筆のために集中するまとまった時間が必要でしたが、育児と両立しながら研究の時間を確保することができるようになりました。助成2年目は夫の転勤がありましたが、その後も研究を続けることができました。子どもたちは転校・転園をし、はじめはそのストレスも大きいかと心配しましたが、それぞれが新しい学校・保育園で自分の居場所を見つけ、馴染んでくれました。調査、研究打ち合わせ、学会等で家を留守にすることが増えましたが、皆で家事や下の子の世話を協力してくれるようになりました。
◆女性研究者の環境改善
 人生の先輩方からは「子育てをする時期なんてほんの一瞬よ」と言われますが、子育てをしながら研究を続けている女性研究者は、トンネルの出口が見えないような閉塞感でいっぱいです。研究を中断せずに続けるためには、子育てを助けてくれる人・場所が必要です。特に経済的にも恵まれず研究を続ける大学院在籍者には、「保育学割制度」などがあると助かると思います。また、子育てをしながら研究を続けてきた先輩女性研究者との情報交換の場があると良いと思います。


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