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女性研究者への支援

第5回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

福島 雅子【東京芸術大学大学院美術研究科 博士後期課程】

近世初期の武家服飾に関する研究―伝徳川家康所用服飾類を中心に―

 徳川家康所用と伝えられる服飾類は、伝来の確かな遺品として、日本の染織史上きわめて貴重な作品群といえる。本研究では、徳川家康所用服飾類の中でも、現存する葵紋付の服飾類を中心に精査することで、江戸時代を通じて規範となった武家服飾形式の源流を探るとともに、その成立過程を確認し、近世初期の武家服飾における規範成立の意義を明らかにすることを目的とする。これまで、徳川美術館などが所蔵する伝徳川家康所用服飾類の調査を実施し研究成果の発表を行ったが、今後は作品調査と併せて文献資料の検討も進め、当該作品群が武家服飾の規範成立に与えた影響について包括的に検証することを目指したい。

【受賞の言葉】
 このたびは助成の対象に選んでいただき、大変光栄です。これまで、子育てをしながら研究を続けてこられたのは、家族や周りの方々の理解と支えがあったからこそだと思っています。いつも研究活動を支えてくださる先生方、研究室の皆様、そして共同研究の仲間に改めて御礼申し上げます。また、常に私の研究に理解を示し応援してくれる家族にも感謝の気持ちを伝えたいです。受賞を励みに、育児と研究に一層励んでいきたいと思っています。

受賞後の様子

 受賞により、私の研究に対する家族の理解が深まり、今まで以上に協力・応援してくれるようになりました。支援により経済的にも精神的にも余裕ができ、子育てと研究のバランスを上手く保てるようになったと感じています。以前は、子育てと仕事の生活の中で、自分の研究のためのまとまった時間を確保することがとても難しい状況でしたが、支援をいただき、研究に専念する時間を確保することができました。また、京都府や和歌山県、愛知県での調査を実施することができ、所属学会での口頭発表や学会誌での研究論文の発表を行うことができました。授賞式に一緒に参加した娘も、私が壇上で表彰していただく姿を間近で見たことで、これまで以上に私の研究に対して前向きにとらえ、応援してくれるようになりました。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 研究助成をいただけたことで、遠方の博物館や美術館での調査を実施することができ、研究対象作品の貴重なデータを多数収集することができました。また、研究に関連する書籍や作品調査のための機材の購入を進めることができ、関連史料の検討や画像の分析によってより精度の高い研究を実施し、研究成果をあげることができました。このように、研究環境の向上によって成果を得られたことが、所属学会の学会誌や学術誌における研究論文の採択と掲載につながったと感じています。さらに、これらの研究成果を基に、平成25年度には博士論文をまとめ、博士号を取得することができました。また、本年4月からは、専門とする分野を担当する大学の専任教員として着任することが叶いました。研究の助成をいただけたことに、心より感謝申し上げます。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 この2年間で娘も随分成長し、私の研究について興味を持ち始め、応援してくれるようになりました。さらに私の研究に理解を示すとともに、精神的にも成長したように感じます。まだ小学生ですが、最近では、将来は大学院まで進学したいと言うようになりました。研究のみならず、子育てについても支援してくださった本助成に感謝申し上げます。
◆女性研究者の環境改善
 女性が子育てをしながら研究を続けていくためには、家族や周囲の人の理解とサポートが非常に重要だと感じています。また、本助成のように、研究だけではなく子育てについても支援する制度が、大きな後押しになると思います。今後は、このような取り組みが増え、女性が出産や育児によって研究を中断せざるを得ない状況が少しでも改善されることを願っています。


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