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女性研究者への支援

第5回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

藤田 久美子

高知県嶺北地域におけるコミュニティーを中心とした土砂災害対策

 我が国の土砂災害対策の歴史は古く、ダムなど構造物を中心とした対策により被害が軽減されてきた。しかし近年の局地的な集中豪雨の増加、私有林における施業放棄森林の増加、森林地域住民の高齢化などにより、従来の災害対策だけでは対応しきれないケースが増加している。本研究では、日本国内で最も森林率の高い高知県嶺北地域を対象とし、気候変動など地球規模での環境の変化と、過疎・高齢化等の社会条件の変化が森林管理に与える影響を明らかにする。加えてアンケートおよびヒアリング調査により住民の行動・考え方を把握し、地域の特性を生かした災害対策を提案することを目的とする。

【受賞の言葉】
 経済的に苦しく、また成果がなかなか出せないもどかしさもあって、このまま研究を続けていくべきか悩むこともありました。そのようなときに受賞の連絡をいただいたことで、自分の研究に自信が持てるようになるとともに、研究を続ける決心がつきました。ありがとうございました。これまで研究を支えてくださった嶺北地域の方々、大学院の先生方や仲間、家族にも感謝の気持ちを伝えたいと思います。

受賞後の様子

 2012年3月、京都大学大学院において博士号を取得できました。また、助成金をいただけたため、フルタイムではなく週3日NPO法人で働くことにして、勤務日以外は博士課程における研究を続けながら、子どもと過ごす時間も確保することができています。
 受賞により、家族も私が研究を続けることを前向きにとらえてくれるようになりました。子どもは、幼稚園の年長になりプールと書き方を習い始めました。いろいろなことが一緒にできるようになり、本当に楽しいです。時々反抗したりするようにもなり、とまどいもありますが、それも成長の過程かと思っております。
 今後は、ベトナムで調査を実施し、現在の研究結果と比較して双方の弱点と強みを明らかにし、研究成果をフィードバックしていく予定です。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 一番大きな変化は、研究者として生きていくことに自信が持てるようになったことです。また、家族からも認められ、研究しやすくなったことが大きな研究環境の変化です。おそらく、この受賞がなければ、研究者を目指していなかったと思います。この2年間で、博士号取得、NPO法人勤務、インドネシアでの国際公務員としての経験など、想像以上に多くの経験をすることができました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 子どもは日本の小学校では、放課後学童保育で過ごし、集団下校をしておりました。実家に住んでいたので、両親が帰宅後の世話をしていました。インドネシアでは、インターナショナルスクールへ8か月通学しました。ナニー(※)さんと一緒にタクシーで通学をし、放課後はナニーさんと過ごし、一緒にサッカーをしたりして、私が仕事から帰ってくるのを待っていました。インターナショナルスクールに通い始めたころは、英語が全く理解できず、泣いてしまうこともありましたが、とても頑張り、帰国する前には学校生活をとても楽しんでいるようになりました。日本にいた時には想像できなかったくらい、たくましくなりました。
※単なる身の回りの世話にとどまらず、しつけや勉強、情操教育など乳幼児教育の専門家としてケアをする方です。
◆女性研究者の環境改善
 日本とインドネシアで研究しながら、子育てを経験することができました。日本では子育て中の女性研究者は、研究に没頭しにくい環境であるとあらためて感じました。研究をしていると、子育てができていないような罪悪感にさいなまれることが多々あったのですが、インドネシアでは女性が働くことが当たり前なので、ナニーさんに子どもを預けて研究していても、プレッシャーを感じずにいられました。また、家事をしなくて済みましたので、子どもとの時間も確保できました。日本でも、同じようなシステムがあれば、もっと子育ても研究も楽しめるのではないかと思いました。


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