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女性研究者への支援

第2回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

稲葉千賀【尚美学園大学 芸術情報学部 音楽表現学科】

流産・死産経験者へのグリーフケア(悲嘆援助)を目的とした 音楽療法のアセスメント表と評価表の研究

 日本では、年間の死産が約4万件、流産約30万件といわれますが、経験者へのケアは少ないのが現状です。これらの人たちの悲嘆を和らげ回復を目的とした音楽療法の基礎的研究を行い、アセスメント表および評価表を作成することを目的としています。この助成金では主に、特別な音楽経験のない方々でも演奏できる音楽療法専用の特殊楽器や機材を購入させていただき、今回の研究が終了しても、悲嘆に苦しむ方々に役立つ研究を続ける予定です。

【受賞の言葉】
 このたびは、助成金対象者に選ばれ心よりうれしく思います。この支援事業の関係者の皆さま、推薦者の先生方やこれまで指導してくださった先生方、また、いつも温かくサポートしてくれる家族に感謝いたします。子育てをしながら、社会に貢献できるような音楽療法の実践的研究を進めていきたいと思います。

受賞後の様子

「助成によって研究時間が確保でき、子どもと過ごす時間が増えました」  いただいた助成金で、保育所の利用やヘルパーさんに送り迎えを頼むことができるようになり、研究を行う時間を確保することができました。保育所に預けている間に研究に関する仕事を片付けられるので精神的な余裕もでき、これまで以上に子どもとかかわる時間を作ることができています。  授賞式の新聞記事を見て私が授賞したことを知った音楽療法関係の先輩や先生から激励のメールをいただき、教育機関や法人での特別講義を依頼されました。  また、所属の大学でも認知度の低い音楽療法という科目への着目度が生徒や先生からも高くなったと感じました。そして、主人の実家では私の仕事がどんなことかを知ってもらうきっかけとなり、より理解を示し協力してくれるようになりました。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 今年は、臨床研究の参加者を公募したため、多くの他の機関の方々と知り合える機会が増えました。公募の際には、知人を通して「あかちゃんがほしい」という雑誌のブログや流産死産経験者自助グループのホームページで紹介してもらえました。研究参加者から、「大企業からうけた助成の研究ということで、安心して応募できた」という意見も聞かれたように、本助成をいただいたことが信用につながったのだと思います。
 私の研究はもとより、音楽療法自体がまだ社会認知されていない分野ですが、音楽療法を知ってもらう機会にもなりました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 第二子ができたので、前にも増して自分の時間もとれず、子どもたちにも手がかかりましたが、本助成があったからこそ、認可外保育園の料金もまかなえ、私も焦ることなく研究活動を継続できました。
◆女性研究者の環境改善
 駆け出し研究者である私たちは、助手や非常勤講師という職をいただいたとしても、産休や育休をとりにくく、不安定な中で研究を続けていかねばならない厳しい環境におかれています。特にネックとなるのが、保育所入所、認可保育所に入るまでのつなぎとしての認可外保育園の保育料です。本助成のように、子育て費用にも使え、研究費も自由に組めるということは願ってもないことです。このような助成を他の企業の皆様も行ってくだされば、研究を断念しなくてはならない非常勤講師や助手が少なくなると思います。


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