第1回受賞者 多和田真理子さん 【飯田市歴史研究所調査研究員】 研究テーマ:明治期の小学校設営・運営と地域構造
助成が決まるまでの環境・決まってからの変化
本事業で助成をいただく前までは、研究と育児の両立に悩んでいました。とくに子どもが小さいうちは、
育児のために研究に充てる時間や活動範囲が制限される状況でした。子どもが度々病気にかかるので、研究は自分の趣味、ワガママなのではないかと悩んだこともあります。
そんなときに、研究も子どもも大切にしたいという思いを、このプロジェクトに受けとめていただけたということが、精神的な安定につながったと思っています。
研究の成果
本プロジェクトの助成対象となった研究をまとめ、2009年8月の飯田市地域史研究集会において成果発表を行うことができました。
また、論文を『飯田市歴史研究所年報』8号(2010年8月発刊)および『國學院大學紀要』第50巻(2012年2月発刊)に投稿し、掲載が認められました。
女性研究者へのメッセージ
女性が育児をしながら仕事を続けることについては、周囲の理解を得やすくなってきており、支援も拡充しつつあります。その一方、研究活動の意義、つまり「何のために研究をするのか」ということに対して、社会の目は年々厳しくなっているように感じます。
とくに女性にとっては、子育ての時期が、研究者として成果が出る時期と重なってきます。常勤職でないと認可保育園の利用が難しい場合もあり、なかなか研究者として職につけないもどかしさと、子育てにかかる負担の大きさに悩むことも多いと思います。
そんなときに、子育てと研究の「どちらか」ではなく「どちらも」選べるようなフォローがあれば、もう少しがんばってみようという気になれます。
私たちが経験をふまえて意識的に考え、発信していかないといけないのは、「(育児をしながら)研究をすることの意義」ではないかと最近強く感じています。その点でも、子育てと研究「どちらも」対象としている本プロジェクトのあり方は、女性研究者だけでなく、
働く女性一般の問題を解決していくうえで重要なヒントになるのではないかと思います。
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