◆研究成果・研究環境の変化
アメリカ在住ですが、本助成のおかげで、10ヶ月ほど日本に長期滞在し研究を大幅に進めることができました。2年目からもたびたび日本に戻り、研究を継続することができました。助成をいただいたことで、滞在中の託児費用を心配することなく研究を進められたことは、うれしい研究環境の変化でした。
研究成果としては、『自殺のない社会へ』という共著本を出版し、第56回日経・経済図書文化賞をいただきました。また、自殺関連の国際学会で発表した論文は、後に英文学術雑誌に掲載されました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
2歳だった息子を連れて何度もアメリカと日本を行き来しました。日本滞在中に日本語が上達した一方、英語を完全に忘れてしまったようですが、アメリカに戻ると数週間で英語を思い出し、子どもの適応力に驚かされました。助成が始まった当時、一緒にいると研究どころではありませんでしたが、助成期間が終わる頃には4歳になり、私の隣で、自分で本を読んでいられるようになりました。
◆女性研究者の環境改善
女性研究者が遠方での学会に参加したり、フィールドワークを行ったりするには、子どもを一緒に連れて行き現地で預け先を確保することも必要かと思われますが、一般の研究助成ではそのような託児費用は補助の対象になりません。結果として学会参加やフィールドワークを諦めざるを得ず、最終的には研究の継続が難しくなってしまうという現状があります。子育て費用が助成の対象となる本プロジェクトは、非常に画期的であり、子育て中の女性研究者にとって何よりの支えとなっています。育児と研究の両立を希望しているすべての女性研究者が研究を続けられるよう、このような助成がもっと増えることを切に願います。
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