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女性研究者への支援

第6回

スミセイ女性研究者支援 受賞者

津田 久美子 十文字学園女子大学 非常勤講師
研究テーマ フランス現代作家における「母」の再考−対象関係論を中心に−

フロイトの弟子、クラインの「対象関係論」に依拠しながらフランス文学作品の読解を通して、一般的に理想化されている「母」とは別の「母」の意味を発見することが本研究の目的である。それは女性のアイデンティティ形成についての再検証でもあり、女性の存在が理想化された「母」か、あるいは「おぞましいもの」かに振り分けられてしまう図式に対して新たな視点を導入することになる。

受賞の言葉
このたびは助成対象に選んでいただきありがとうございます。これまでの子育て経験は得難い貴重なものであると同時に、常に自分の研究活動と葛藤する、暗く深いトンネルのような険しい道のりでもありました。今回の受賞を励みに、子どもの成長を見守りつつ、研究にも一層邁進していきたいと思います。ご指導いただいた先生方、研究仲間たち、両親、そして最大の協力者である無二のパートナーに心から感謝の気持ちを伝えたいと思います。
受賞後の様子
 本助成により経済的な不安を払拭できたおかげで、安心して研究に取り組むことができました。これまでよりも研究時間が確保できるようになったので、人文系の研究には何より欠かせない、構想する時間がとれるようになり、研究環境が格段に上がりました。また、学会や研究会にも積極的に参加できるようになり、ブランクがあっても孤立せずに研究を続けていくことができました。
 今年で3歳になる息子の発する問いが「何?」から「なぜ?」に変わってきて、着実に成長していることを実感します。毎日お互い不思議に思ったことを、ときに寄り道しながら話しあっています。子どもの成長を発見する機会は不意に訪れるものなので、できるだけ見逃さないよう、日々の細かなやりとりを大切にしています。
 保育園継続申請においては、無事希望していた園に入園が決まりました。ともすると母親の仕事として所属機関のない「研究者」はなかなか理解が得られにくいものですが、本助成を受けていることで、研究活動は他の働く母親たちと同じ「就労」であるという客観的な評価が得られたのだと感謝しています。
助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化

 本助成により、研究環境が格段に向上しました。育児との両立もさることながら、それまでは生活を支えるため、研究に充てる費用を捻出するために働かなければならない、しかし仕事に時間を割く限りは研究ができないというディレンマに陥っていましたが、そうした経済的な不安がなくなったことで精神的な安定も得られるようになりました。仕事量をできるだけ押さえながら、学会や研究会へ参加する時間を得られたこと、そして文献と向き合い考える時間を得られたことは、この研究分野では他に代えがたい貴重な支援であったと感謝しています。

◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード

 子どもの通う保育園の担任の先生からは、資料調査や論文執筆でお迎え時間が遅くなりがちなときでも「園は大丈夫ですから、お母さんはお仕事の方をがんばってください」という言葉をかけていただき、研究活動を仕事として励ましていただいていることを実感しました。本当にありがたいことです。身近に自分の仕事を理解してくれる人がいるということは、研究と子育ての両立を目指そうとする者にとっては大変に力づけられるものです。

 先日、4歳になる息子が、お気に入りの絵本を手本にひらがなを書いて練習していました。きりのよいところまでくると、「今日のけんきゅうは、終わり!」とパタンと絵本を閉じたので、びっくりして親同士顔を見合わせました。特に自分の仕事を子どもに見せていたつもりはなかったのですが、親の後ろ姿から何か感じとってくれたのかと思うとうれしさがこみ上げてきました。

◆女性研究者の環境改善

 子育てしながら研究するという、ある一面で互いに相反する性質の作業を両立させるためには、生活基盤が整い、子どもを預けられる環境が必要です。しかし保育園入園・継続申請に際しては、研究が「就労」であるとの認識はなかなか得られにくく、特に所属機関のない研究者は行政の云うところの「保育に欠けている」状態を客観的に証明できる手だてを必要としています。

 人文・社会科学系の研究は、自然科学系の研究のように目に見えてすぐに成果があらわれるものではないので、なかなか支援に結びつきにくい分野の研究ですが、本プロジェクトのように人文・社会科学系の研究者支援制度があるおかげで、出産、育児によってブランクのある研究者が再び育つ機会に恵まれることになり、研究の裾野もさらに広がっていくことになると思います。

主催:住友生命保険相互会社 お問合せ先:「未来を強くする子育てプロジェクト」事務局 TEL:03(3265)2283(平日10:00〜17:30)


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