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女性研究者への支援

第7回

スミセイ女性研究者奨励賞 受賞者

二村淳子 東京大学大学院 総合文化研究科
研究テーマ 描かれた女性像−20世紀初頭の東アジア人画家による女性表象−

本研究は、20世紀初頭にヨーロッパの「美術」という概念に出会った東アジアの画家たちが、いかに女性を表象してきたかを探る。従来は、西洋画家の男性中心の世界観を日本人画家が受容したと解釈されてきたが、東アジア固有の文化を加えた「創造的な翻訳」を試みた可能性は否定できない。中国、ベトナム、日本等の画家たちを取り上げ、彼らの作り出していった世界を検証する。

受賞の言葉
まず、なによりも関係者の方々に深く感謝いたします。子育てと研究(とりわけ人文学系)の両立が非常に困難な状況にある日本において、このような助成金制度があることは素晴らしいことです。人文学系研究は、技術や経済と違って実益にすぐには結びつきません。しかし、これから先の社会を見つめ、考えていくうえで、問題や解決の糸口を提起することはできます。未来を切り開く研究者を目指し、邁進します。
受賞後の様子
 2014年4月から6月までは日本の保育園を利用していましたが、7月から8月にかけてのフランス調査旅行に娘も連れていきました。夫(フランス人)の家族の協力もあり、フランス国立図書館や美術学院で資料を収集することができました。移動や転居のため、すぐには保育園には復園できませんでしたが、その間、ファミリーサポーターにお世話になることができました。
 本助成のおかげで、精神的な余裕を持つことができるようになりました。なかなか研究が進まなくても、継続していくことが大事だと思えるようになり、すべてをポジティブに考えることができるようになってきました。受賞したことで自分に自信と誇りを持てるようになり、以前に比べて焦燥感が少なくなりました。子どもは親の姿を映す鏡と言います。母である私が毅然と、堂々としていることが大切だと思っています。
助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化

 本助成によって、ベビーシッターを利用し、共同研究会に出席できるようになりました。これによって自分の研究に比較的近い研究者、自分の研究に興味を持ってくれる先輩研究者と知り合う機会を得て、今まで孤独で孤立無援だった研究者としての自分に交友が広がったことは、大きな刺激と励ましに繋がりました。
 助成1年目、2年目ともに、論文を3本書き、学会などでの口頭発表、出版にも力を入れました。私の2年間の成果が評価され、2016年4月から、国立大学法人 鹿児島大学の学際研究院教育センターに専任講師として着任することになりました。常勤のポストに就任することができ、家庭の経済的な安定を獲得できています。

◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード

 受賞により、夫が研究者としての自分を認めてくれるようになり、精神的に非常に楽になりました。「大学教員になれる望みがあるのか?」というセリフを繰り返していた夫でしたが、私の可能性を信じてくれるようになった気がします。
 また、子育て費用に助成金をあてることにより移動に新幹線を利用できたので、その分子どもと触れ合う時間が確保できました。娘は5歳になり、仏語と日本語を流暢に話し、今では夫のための簡単な通訳を務めるまでに成長しました。園でも年少の子たちの面倒をよくみていると先生から報告を受けていて、思いやりの心もずいぶんと育ったと感じています。

◆女性研究者の環境改善

 授賞式の大日向選考委員のスピーチは、今でも強く印象に残っています。感極まって、泣いてしまい、隣や後ろに座っていた受賞者たちも、みんな同時に泣いており、一緒の想いを共有していたとわかり、うれしく感じました。娘も当時3歳ながら、あの日のことはしっかり覚えているそうです。
 安定的なポストを持たず、若い大学生でもない、子どもを持つ「博士課程学生」やポスドク非常勤者は、地方行政者の視点からは、「無職」同等に分類されてしまい、「保育園には入園できません」となってしまいます。
 自分のこうした立場を説明できるためにも、そして今後の展望をはかっていくためにも、自分の経験とスキルを整理・可視化できる「アカデミック・ポートフォリオ」を作成することは、女性研究者にとって意義があると思います。

主催:住友生命保険相互会社 お問合せ先:「未来を強くする子育てプロジェクト」事務局 TEL:03(3265)2283(平日10:00〜17:30)


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