◆研究成果・研究環境の変化
博士論文の序章となる「『パリの憂鬱』の成立背景」をまとめ、2015年の3月に発行された『フランス文化研究 第8号』に掲載されました。この論文をまとめる作業を進めながら、前年まで考えていた方法論の見直しを行い、別の観点から博士論文全体を練り直し、論文で追究する点をより焦点化いたしました。関連文献の精査と分析を進め、そしてPHD Candidate(論文提出資格)の審査の準備を進めました。
2015年6月にPHD Candidateの審査に合格しました。昨年度の論文発表後から博士論文の構成全体を見直していましたが、審査後に新たに課題が見つかり、さらなる関連文献の精読と方法論のブラッシュアップをつづけました。年度内に博士論文の完成には至りませんでしたが、主査の教授の退官もあったため、論文の完成度を高めるべく、単位取得退学の道を選びました。今後とも論文完成を目指して研究を続けてまいります。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
子どもの学年が上がるにつれ、勉強内容が難しくなったり宿題の量が増えたりして、それを見てあげたいという気持ちから、できる限り家庭内で研究や仕事をするようになりました。しかし、忙しいときは子どもの世話よりも研究を優先させてしまい、家族には申し訳ない気持ちでおりましたが、そんな私の様子を見て子どもたちの方から手伝いを申し出てくれたり、「ママ、頑張って」と声をかけてくれたりするようになりました。子どもたちがご飯を作ってくれることもありました。母をあてにするのではなく、自分のことは自分でする、姉妹で助け合う、でも必要なときは迷わず助けを求めるということができるようになってきました。
◆女性研究者の環境改善
私たち女性研究者は周囲が思っている以上に自分自身の中で葛藤をしながら研究をしています。この助成によって、社会から応援されているという事実は本当にかけがえのないもので、私がどれほど励まされたか言葉に言い表せません。同じ境遇で奮闘する女性研究者に出会えて、またそれを応援してくださる企業が日本社会にもあるなんて、本当に感動しました。女の子である子どもたちに、母親でもやりたい勉強をしてもよいこと、世の中には女性の自己実現を応援してくれる大人たちが沢山いるのだと、自分自身の経験から教えてあげられるのは大変な喜びです。
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