◆研究成果・研究環境の変化
助成1年目は、勤務校の着任1年目であり、嵐の中にいるような日々でした。覚えるべきことが山のようにあり、おまけに3箇所の非常勤を抱え、子どもは小学校一年生で、毎日が綱渡りでした。しかし、1年目の夏にスロベニア、フランス、ドイツに出張し、そのとき同行した研究者と共同執筆で本研究テーマの核心である、「聴く・語る」「対話」をテーマにした論文を構想することができ、その成果は、2年目に所属学科が出版した『未来を拓く児童教育学』の一節にまとめることができました。また、1年目の釜ヶ崎の訪問が、2年目にまとめた論考につながっているものもあります。このように継続して助成をいただいたおかげで、求めているテーマを長期的に温めることができたのは、幸運でした。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
本助成の経済的支援のおかげで、子連れで出張することができました。サポート学生と帯同して出張することで、子どもは学生とふれあう学びにもなり、学生たちにとっても子育てを理解してもらう学びの場になりました。
子どもが皆勤賞をもらい、賞状を学校からもらってきたある日、部屋にあった本助成金の賞状を見つけて「読んで!」と頼んできました。すると、「お母さんすごい!」と大興奮していました。理由を聞くと、CMでよく知っている「あの住友生命から賞状もらったんだね!!」と。この助成に恥じない活動をしていかなければ、と思いました。
◆女性研究者の環境改善
授賞式で「みなさんは、一人ではありません」と大日向選考委員にあたたかい言葉をかけていただいたこと、その語りで参加者の多くからすすり泣きがあったことを思い出すと、涙ぐんでしまいます。あの日のことは、忘れられません。
子育て中の女性研究者は常に時間に追われています。非常勤講師時代に助成決定の通知をいただき、暗闇の中で一筋の光明を見る想いでした。自分はともかく、優秀な非常勤の先生方はたくさんいます。そうした若い研究者に光が当たる社会であって欲しいと思います。2年間が終わり、今、感謝しかありません。是非この貴重なプロジェクトが継続され、発展されることを祈っています。
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