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女性研究者への支援

第2回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

濱田倫子【東京大学大学院 人文社会系研究科 宗教学研究室】

「漢代画像石」に見る古代中国の死生観について

 宗教の力が弱まってきた現代社会には、個人個人が死と向き合い、それを受け入れていかなければならない重い課題が与えられている。そこで古今東西の死生観を改めてみつめ直す作業が求められている。かつての日本ともかかわりのある中国の古代からの死生観について、古墳壁画や副葬品の造型等の調査から研究し、現代のわれわれがよりよく生きるための参考になればと考えている。今後もこの研究を続け、将来的には生命倫理等の研究にまで分野を広げていきたいと思っている。

【受賞の言葉】
 このたびは助成対象者に選んでいただきありがとうございます。広く『人間の生死』について研究していますので、出産や育児そして近親者の看病など私生活で生じる問題は、未熟な研究者としての自分をも深めてくれるものであると信じています。いつも応援してくださる方々に感謝したい気持ちでいっぱいです。

受賞後の様子

「助成金によって子どもの保育環境がよくなりました」  いただいた助成金をもとに、中国の西安および洛陽へ1週間ほど現地調査に赴きました。今回はそこに保存されている漢代の画像石墓を実見してきました。普段は写真でしか見ることがなかったものについて、初めてこの目で見、この手で触れることができて大変貴重な経験となりました。娘の保育園は認可外の保育園から私立の認可保育園に転園することができ、保育の環境もだいぶ良くなりました。  夫が持病のために昨年2月から休職して入院治療を続けている関係で、父親不在の家庭において女手ひとつで子どもを育てなければならず、また留守を預かる責任もあり、娘は“子ども”というよりも一緒に事態を乗り切る“パートナー”のような存在でいてくれました。  受賞後は研究について周囲の人の理解が以前より得られるようになり、多くの方に助けていただきました。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 一昨年に修士論文を提出し、昨年から博士課程の学生となりました。私の研究室においては、博士一年生が研究室の行事の責任者や、演習の司会を務めるという伝統がありますが、これまで母親でそれを経験した者はおらず、とても不安でした。しかし、受賞以降は「子持ちである」ことをアピールできるようになったので、研究室内での協力も得られ、その結果、研究室の任務を全うし、研究でも一定の成果を出すことができました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 昨年6月に実施された研究室の一泊二日の旅行の際には、先生方や同期と相談の上、子供を同伴させていただきました。研究目的の旅行でも、娘は途中騒ぐことなく全行程を行儀よくこなすことができ、そのように内と外との分別がつくようになったことを親として嬉しく思いました。娘を快く受け入れて下さった訪問先の方々や研究室の皆さんには心から感謝しております。
◆女性研究者の環境改善
 研究室の若い独身の学生には、研究ママの状況はピンときません。私は、“子どもの姿を仲間に見せる”ことで、“研究者である私”と“母である私”のイメージをリンクしてもらうことに努めました。「子育てが大変なこと」を視覚的に捉えてもらえれば、周りの人も納得して手助けをしてくれるようになると思います。
現在、当研究室には後輩である研究ママが複数名おりますが、彼女たちが博士に進学した際には、子育てと研究室の仕事と自身の研究の“三立”が叶うよう、陰ながら応援させていただくつもりでおります。


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