トップメッセージ
当社のパーパス「社会公共の福祉に貢献する」を果たすために
住友生命は、「社会公共の福祉に貢献する」ことをパーパス(存在意義)として掲げており、創業以来、生命保険事業を通じて多くのお客さまの人生を支え、社会に貢献し続けてきました。このパーパスには、自身を利するとともに社会を利するべきとする「自利利他公私一如(じりりたこうしいちにょ)」をはじめとした住友の事業精神が脈々と受け継がれており、社会環境が大きく変化する中で、お客さまや社会にどのように貢献するかということを私自身も考えて続けてきました。
日本国内では平均寿命の延びとともに「人生100年時代」と言われて久しいですが、その一方で少子高齢化や人口減少が進んでいます。世の中の空気も何となく先が見えず、鬱屈としたものになっているように感じられる中で、私はもう一度明るい未来を展望できる日本にできないものかと考え続け、2021年の社長就任以来、「一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング」へ貢献することをテーマに、身体的健康、社会的健康、精神的健康、幸福等の観点から、様々な取組みを進めています。ただし、世の中や社会、地球環境がサステナブルでなくては、ウェルビーイングは実現できません。建物にたとえれば、サステナビリティはベースとなる1階部分で、ウェルビーイングはその上に載る2階部分というイメージです。ベースとなるサステナビリティ経営を着実に推進し、その上に「もっと良くするためには何ができるか」というポジティブな価値をひろげ、多くのステークホルダーにお届けすることが、「社会公共の福祉に貢献する」当社のパーパスの実現になると考えています。
サステナビリティ経営を実現し、持続可能な未来へ
当社の「サステナビリティ経営方針」では、サステナビリティの視点から当社が果たすべき普遍的なミッション(使命)を明文化し、「保険事業の健全な運営と発展を通じて、健康長寿社会の実現に貢献する」、「誠実な業務遂行および社会・環境課題の解決への取組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。これらの使命を踏まえ、「住友生命グループVision2030」では、2030年のありたい姿を「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」と定め、その実現にあたり、社会課題の解決に積極的に取り組みながら、一人でも多くの方にウェルビーイングの価値を提供することとしました。すべてのステークホルダーのウェルビーイングな姿の実現を目指し、「サステナビリティ」、「ウェルビーイング」それぞれをより強固にする取組みを推進しています。
本業を通じた社会・環境課題解決に向けた取組み
社会・環境課題の解決に向けた取組みが企業に求められる中、本業で社会課題に取り組み、企業価値を向上させていくことが極めて重要だと考えています。生命保険事業で考えると、日本は世界でも有数の長寿社会ですが、平均寿命と健康寿命との隔たりは小さくなく、その差を埋めていくことが社会的な課題となっています。健康寿命の延伸に貢献していくことは、お客さまと長きにわたってお付き合いをしていく生命保険事業との親和性が高い分野です。健康増進型保険“住友生命「Vitality」”を軸に、社会全体への健康増進の働きかけや、健康経営の推進を行うことで、「健康寿命の延伸」という社会課題の解決に取り組んでいます。
また当社は機関投資家でもありますが、資産運用を行う中で、現在深刻化している気候変動・地球温暖化などの社会・環境問題にどのように対応していくかも、大きな課題です。機関投資家として、当社が現在保有する40兆円近い資産は、すべて責任投資資産と位置づけており、サステナビリティを考慮した責任投資を推進しています。気候変動などのESG要素を考慮した投融資を行うだけではなく、投資先企業に中長期的な企業価値向上を促すための対話(エンゲージメント活動)を実施するとともに、国内外のイニシアティブに積極的に加盟することで、協働エンゲージメントなどを通じて社会・環境課題の解決に取り組んでいます。当社は、2030年に温室効果ガスの排出量を2019年度対比で50%削減すると宣言していますが、このスピードをできる限り早め、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきたいと考えています。
あらゆる取組みを支える「人財」の力
2021年に社長に就任し、2030年や2050年といった先を見据え、住友生命らしさや企業価値の向上を実現する源泉は何かと考えてみたときに、それはやはり人である、という結論に達しました。2030年にありたい姿として掲げている「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」を目指す上でも、人の力は欠かせません。「人財戦略と経営戦略の一体化」と言っていますが、職員の多様性を高めると同時に自律性を発揮できる環境を整え、これまで以上にあらゆるところで力を発揮してもらうことが重要です。それが実現できれば、職員も今まで以上に働きがいや生活の充実などを感じられるようになるはずです。職員自身のウェルビーイングな姿をしっかり実現させることが、お客さま・社会のウェルビーイング、ひいては「サステナビリティ経営方針」や「Vision2030」で目指す姿の実現につながると考えています。
当社が目指す未来
現代の世の中において、当社の掲げる「社会公共の福祉に貢献する」というパーパスを果たすために求められるのが、サステナビリティ経営を実現し、ウェルビーイングへの貢献を進めることだと考えています。そのために、健康増進や地球環境だけでなく、地域に根付いたサービスの提供や将来世代への取組みなど貢献領域を広げています。これらの取組みをより強固にすることだけでなく、職員一人ひとりが「サステナビリティ」「ウェルビーイング」の実現を目指し、それぞれの役割を全うすることが重要です。47都道府県に事業所があり、海外にもグループ会社を持つ当社において、地域に密着して、地域のそれぞれの課題についてどう向き合っていくのか。民間事業者としてできること、求められていることは数多くあります。それぞれの地域のウェルビーイングに貢献し、そして日本、世界、地球未来のウェルビーイングを実現することで、持続可能な社会の実現に貢献する企業グループを目指してまいります。
COLUMN:住友グループの歴史に学ぶサステナビリティとは
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に住友グループが出展するパビリオン(展示館)の「住友館」では、住友グループの会社が保有する“住友の森”の木が全面的に建設に活用され、パビリオン全体を通じて、住友グループの取組みを実感いただけます。「住友館」は、住友グループの原点ともいえる、愛媛県の「別子銅山」の森がコンセプトとされています。別子銅山は、かつて、山林の伐採や銅山の開発による煙害が深刻でしたが、当時支配人であった伊庭貞剛(のちの第2代住友総理事)が、採掘による荒廃を防ぐべく、植林事業など出来る限りの策を講じた結果、現在では豊かな緑が再生されています。私自身別子銅山を訪れ、当時の荒れ果てた山を復活させるという営みの尊さをあらためて感じるとともに、当社もGHG削減や生物多様性の保全の取組みなど、社会課題・環境課題の解決に貢献し、次の時代に確実にバトンをつなげていく使命を果たさなくてはならないと考えています。