資産運用
生命保険という長期にわたる負債の特性に応じて長期の公社債や貸付金等の円金利資産を中核的な資産として運用することで、金利リスクを適切にコントロールしながら安定的な収益を確保することを基本としています。
安全・確実を旨とする資産運用
生命保険会社の資産は、お客さまにお支払いいただいた保険料で成り立っています。住友生命では、お客さまからお預かりした大切な資産を長期・安定的に運用していくことを第一義とし、CSRを含め、さまざまな観点からの投資判断に基づいた運用を行っています。
具体的には、生命保険という保険期間が長期にわたる負債の特性に応じ、ALM(Asset Liability Management:資産・負債の総合管理)の観点から、公社債や貸付金などの長期の円金利資産を中核的な資産として運用することで、リスクを適切にコントロールしながら、安定的な収益を確保していくことを基本方針としています。さらに、許容されるリスク量の範囲内で株式等のリスクを取った運用を行うことで企業価値の向上を目指しています。
ESG投融資の取組み
ESG投融資は、財務情報に加え、環境(E:Environment)、 社会(S:Social)、ガバナンス(G:Governance)といった非財務情報も考慮して行う投資手法です。当社は、2019年度よりESG投融資方針の策定を開始し、責任投資原則(PRI※)に署名したうえで、ESG投融資を本格的に開始しました。2020年度は、新たに策定した中期経営計画において、ESG投融資を当社のSDGs達成に向けた取組みの一つに位置付け、一層推進しております。
※PRI(Principles for Responsible Investment):国際連合が2006年に提唱した投資家がとるべき行動原則。投資先企業のESG要素を投資プロセスに組み込むこと等を求めている。
【ESG投融資方針】
ESG の観点を組み込んだ投融資は、持続可能な社会の実現、および、中長期での投融資を行う機関投資家にとって運用収益の向上に資するとの認識の下、ESG投融資を推進してまいります。具体的には以下4つの手法(ESGインテグレーション、エンゲージメント、テーマ投資、ネガティブ・スクリーニング)に取り組みます。
(手法①)ESGインテグレーション:投融資の意思決定プロセスに、定量的な財務情報に加え、ESGの観点を考慮する手法です。ESG課題への対応を含む非財務情報は、中長期的に見て投資先の企業価値に影響を及ぼすため、当社は、株式およびクレジット資産(社債・融資)にて業種別マテリアリティ(重要なESG課題)を設定の上、評価する取組みを行っております。
<ESGインテグレーションのイメージ>
(手法②)エンゲージメント:国内上場株式および国内社債を対象に、投資先企業のESG課題を踏まえた対話を行っております。詳細は後述の「日本版スチュワードシップ・コードへの対応について」をご覧ください。
(手法③)テーマ投資:ESG課題の解決を目的とした債券等への投融資について、運用収益獲得の観点に加え、SDGs達成への貢献も考慮のうえ、検討・実行しております。なお、2020年度から開始した中期経営計画期間(3ヶ年)において、テーマ投資実行金額に目標値を設定のうえ、取り組んでおります。
テーマ投資 実行金額目標 |
累計:3,000億円 (2020-2022年度の3ヶ年) |
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2020年度投資表明した案件一覧
<これまでの主な取組み事例>
これまでの主な取組み事例 | 関連するSDGs項目※ |
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◆サステナビリティ・ディベロップメント・ボンドへの投資 新型コロナウィルス感染症対策を含む保健医療分野への支援を目的に国際復興開発銀行(IBRD)が発行するサステナビリティ・ディベロップメント・ボンドに投資しました。(2020年5月) |
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◆グリーンボンドへの投資 スマートシティの実現を目指す東京都が環境事業に充当する目的で発行した「東京グリーンボンド」に投資しました。(2019年10月ほか) |
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◆ソーシャルボンドへの投資 新型コロナウィルスの拡大による景気低迷の影響を受ける開発途上国の民間企業の支援を目的に国際金融公社(IFC)が発行するソーシャルボンドに投資しました。(2020年6月) |
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◆サステナビリティボンドへの投資 鉄道建設・運輸施設整備支援機構が鉄道建設プロジェクトと船舶共有建造プロジェクトに充当する目的で発行したサステナビリティボンドに投資しました。(2020年5月ほか) |
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◆ポジティブ・インパクト・ファイナンスへの投資 企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクトを分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした企業向け融資を実施しました。(2020年8月ほか) |
(その他多数) |
◆マイクロファイナンス・ファンドへの投資 ASEAN 諸国等における女性の起業を支援することを目的として組成されたマイクロファイナンス機関向け投融資を行うファンド「Japan ASEAN Women Empowerment Fund」に投資しました。(2019年9月ほか) |
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◆国内太陽光発電プロジェクトファイナンスへの投融資 国内で実施する太陽光発電事業に関し、複数の案件に対して投融資を行いました。 |
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◆環境に配慮した不動産投資 当社が全国に所有する約100棟のテナントビルについては、省エネ型設備の導入や冷暖房設備のきめ細やかな温度設定などを通じて省エネ推進に取り組んでいます。 |
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※上記のSDGsのロゴは、当社が当該投融資によって貢献に繋がると考える主な目標になります。
(手法④)ネガティブ・スクリーニング:特定の業種や資金使途等を投資対象外とする手法です。当社はクラスター弾の製造企業への投融資、および、石炭火力発電事業を資金使途とする投融資を禁止しています。
【2020年 PRI評価結果】
当社のESG投融資に係る取組みについて、PRIより、署名後初の評価をいただきました。評価結果の概要は下表のとおりです。本結果を参考にしながら、ESG投融資のレベルアップを図っていきます。
分野 | 評価対象 | 当社評価 | 署名機関 中央値 |
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戦略とガバナンス | ESG投融資方針・ガバナンス | A | A | |
上場株式の投資プロセス | 上場株式の投資プロセスにおける ESG要素の組入れ |
A | A | |
スチュワードシップ活動 (上場株式) |
上場株式における投資先企業との 対話・議決権行使 |
A+ | B | |
債券投資※ | 債券の投資プロセスにおける ESG要素の組入れ |
B | B | |
不動産投資 | 不動産の投資プロセスにおける ESG要素の組入れ |
B | B |
※ 債券投資は、国債等、社債(金融)、社債(非金融)の平均を表示しています。
【社内の推進態勢(PDCAサイクル)】
当社のESG投融資に取り組む態勢については、運用企画部が中心となってESG投融資方針を策定し、運用執行部門にて投融資を実行する流れになります。その後、PRIによる年次評価結果を活用するとともに、市場参加者等との意見交換や当社海外拠点の情報を有効活用すること等を通じて、適切に振返りを行い、ESG投融資のレベルアップを図って参ります。
日本版スチュワードシップ・コードへの対応について
当社は、将来にわたって保険金等を確実にお支払いすることが、我々の最も重要な使命であるとの認識のもと、お客さまから大切な保険料をお預かりして資産運用を行っております。そのため、当社は責任ある機関投資家としてESG(環境・社会・ガバナンス)を含む中長期的な持続可能性(サステナビリティ)を考慮のうえ、中長期的に安定した有利な資産運用に取り組んでおります。 この点において、サステナビリティを考慮した建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)の実践を通じ、投資先企業の企業価値向上や持続的成長を促し、中長期的な投資収益の拡大を図っていくことは、当社に課された使命や運用戦略に沿うものと考えます。 従って、当社は「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》を受入れたうえで、スチュワードシップ責任を果たす活動(スチュワードシップ活動)に積極的に取り組みます。
- スチュワードシップ活動の基本的考え方
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スチュワードシップ活動報告
【2019年】
「スチュワードシップ活動報告書 2019年度」(2019年7月~2020年6月)
【2018年】
「スチュワードシップ活動(対話・議決権行使)に関する考え方および活動状況報告」(2018年7月~2019年6月)
【2017年】
「スチュワードシップ活動(対話・議決権行使)に関する考え方および活動状況報告」(2017年7月~2018年6月)
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議決権行使基準
議決権行使ガイドライン(2020年9月改正)
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議決権行使結果
【2020年】
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2020年7月~9月)
【2019年】
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2020年4月~6月)
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2020年1月~3月)
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2019年10月~12月)
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2019年7月~9月)
【2018年】
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2019年4月~6月)
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2019年1月~3月)
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2018年10月~12月)
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2018年7月~9月)
【2017年】
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2017年7月~2018年6月)
【2016年】
投資先企業ごと、議案ごとの議決権行使結果(2017年6月)
リスク管理に係る社内規定にもCSRの視点
資産運用のリスク管理に係る社内規定において、排除すべき投融資の事例を定めているほか、法令違反など妥当性を欠く取引先の徹底的な排除にも取り組んでいます。
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