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女性研究者への支援

第3回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

田中 淑江【日本女子大学大学院 人間生活学研究科生活環境学専攻】

染織品保存修復技術に係る能装束の形状研究

 染織品修復で機会が多い作品に能装束が挙げられる。能装束の形状研究は少ないのが現状である。そこで今回、現存する桃山時代から現代までの能装束の形状を分析し、科学的視点から、その結果を修復に役立て、将来的に文化財保存修復の分野に貢献することを目的とする。研究方法は、能装束の実物調査を行い、詳細な寸法データを収集しそれらを分析し、時代ごとの傾向を見る。現時点で約200領のデータを収集し、分析しているが、今後更に研究を継続することによって、能装束の形状変遷を明確にしていきたいと考えている。

【受賞の言葉】
このたびは、助成対象者に選んで頂きまして誠にありがとうございました。女性が研究と育児を両立させて、夢や目標を達成するためには、協力者の方々の支えがなくては成り立たないことを日々実感しております。今回の受賞は、研究を継続するための励みとなりました。研究テーマの「能装束の形状研究」を、文化財修復活動に生かし、社会に貢献すると共に、実りある研究結果を出せるよう努力いたします。この支援事業者の方々、いつも励ましご指導下さる推薦者の先生方、また全面的に協力し支えてくれる家族、両親に心より感謝申し上げます。

受賞後の様子

 2010年の9月に、予定よりも早く博士論文をまとめることができ、博士課程を終了いたしました。これもひとえに助成をしていただいたおかげと思っております。
 2009年に投稿していた3本の論文が、2010年の春に学会及び関係機関に掲載され、博士論文を仕上げる許可を指導教官から急遽いただきました。突然の事ではありましたが、博士論文を仕上げるために必要な経費を助成金から使用させていただき、安心して研究に没頭することができました。
 子育てに関しては、4年生と1年生になった子供たちを、ファミリーサポートの方にお願いしています。ひどく忙しい時は、宮崎の義母にも長期滞在してもらい、研究を支えてもらっています。
 受賞により、夫や両親、義母、ファミリーサポートの方々の理解が深くなり、研究、仕事に頑張るようにと今まで以上に応援してくれるようになりました。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 2010年度に博士号取得後、2012年4月より長年非常勤を務めておりました母校の共立女子大学に教員として就任することができました。助成制度で安心して研究できる環境が整い、2年間の研究成果を出せたことが今回の就職につながったと心から感謝しております。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 助成金で一番に助かったのは子育て関係費が計上できることです。ファミリーサポートなしでは研究が継続できませんでした。この2年間で子供たちはかなり成長しました。私の帰りが遅くなるときは、2人で力を合わせて洗濯物を取り込み、お風呂掃除や軽食も作れるようになりました。就職が決まった時は「お母さんおめでとう」「なりたかったお仕事だったんでしょ」と、とても喜んでくれました。母が努力する姿を子供ながらに見守ってくれていたことを改めて認識しました。就職決定もうれしい出来事でしたが、子供たちがいたからこそ頑張らなくてはならないなと思っていましたので、子供たちの存在と成長を幸せに感じました。
◆女性研究者の環境改善
 企業だけでなく、国が子育て中の女性研究者の環境を広く理解し、助成制度を整え、多くの女性研究者が利用でき、安心して子育てと研究ができるよう制度を検討してほしいです。本プロジェクトは研究者の意思を尊重して、幅広く自由に研究費を使用させて下さり、自分に合ったよりよい研究環境が整えやすい、受給者にとってありがたい制度でした。多くの子育て中の女性研究者に、この制度を利用し、子育てと研究の両立に役立てられるよう伝えていきたいと思っております。


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