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女性研究者への支援

第4回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

ミャグマル・アリウントヤー【一橋大学大学院 社会学研究科 博士後期課程】

国際教育支援の働きかけおよび教育改革の行方―モンゴルの就学前教育改革における<子ども中心主義型アプローチ>の実施実態をめぐって―

 社会主義の崩壊に伴い、ポスト社会主義国では「民主主義的な市場経済」の実現に不可欠な、クリエーティブな人材の育成のために、教育の質の改善が最も求められている。実際に、国際NGO等による支援が、教育改革の形を取って旧東側社会にも浸透してきている。こういった動向に対し、世界中の教育制度がグローバル化の影響を受け、収斂化しているという議論がある。一方、このような支援・改革は、ローカルなコンテキストには、根付いていないという主張も存在する。本研究では、モンゴルの教育に焦点をおき、主に国際NGOの支援によって導入されている<子ども中心主義型アプローチ>の位置づけを探っていく。

【受賞の言葉】
 私にとっては、研究と育児は両方とも、留学中の今だからこそ大事にしたい、また大事にしないと後悔するであろう優先課題であります。パートナーも同じく留学生で、国籍が違うため、大変なことがたくさんあります。このように国籍・年齢を問わない支援をしてくださっている方々、また、応援をいただいている先生方や友人、さらにいつも協力し見守っている夫と両家の家族に心から感謝いたします。

受賞後の様子

 パートナーも同じく留学生で博士課程に在籍しているため、現地調査に出かける際にはいつも子どもの問題がついて回りました。しかし本助成によって、一時保育の利用や、調査に子どもも連れて行くという選択が可能になり、経済的にも精神的にも助かっています。またモンゴルから母が来て、育児と研究の両立を支えてくれています。受賞をきっかけにして、夫やそれぞれの両親の理解も深まり、研究活動についてこれまで以上に応援してくれるようになりました。環境が整ったこともあり、研究活動も順調です。モンゴルでの現地調査として約1ヶ月間、社会主義崩壊直前までの幼児教育に関する文献調査を実施しました。こうした研究に必要な交通費、滞在費、調査費として助成金を使用させていただいたおかげで、経済的な心配をせずに研究に取り組むことができました。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 経済的な負担が軽減されたことにより、夫やお互いの両親の理解が一層深まったと思います。博士論文の執筆作業の一番慌ただしい時期に、モンゴルから母が2度来て家事や育児に力を貸してくれたおかげで、より多くの時間を研究に費やすことができ、論文を完成させることができました。現地調査においても、助成金が調査国における一時保育料に充てられることで、子どもを連れて行くという選択肢も広がり、保育の問題がスムーズに解決されました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 以前は私の帰りが遅いと不満を言っていた幼い娘も、祖母が長期滞在してくれるようになったおかげで、遅い帰宅も許してくれるようになりました。また、長期間の現地調査も夫と一緒に応援しながら待ってくれています。これまで研究を続けてこられたのも、そんな娘の支えもあったからこそではないかと改めて考えています。
◆女性研究者の環境改善
 生涯学習社会が声高に提唱されているにもかかわらず、年齢制限を設けていることは、社会人を経て研究・学問の世界にもう一度挑戦してみようとする選択肢を閉ざしてしまっているのではないでしょうか。もし年齢制限がなければ、子どものいる女性も違和感なく研究を続けられると思います。日本では、博士課程に在籍中は研究に集中し、個人の生活は後回しにしたほうがよいと考えられがちですが、研究も成果が出た後社会の役に立つという意味では仕事と同じです。だとすれば、当然個々の生活もあり、出産、育児を経て仕事に戻ることも普通のことです。本プロジェクトのような支援が広がることは、少子化や高齢出産の問題に正面から向き合い、子どものいる研究者の環境改善につながることになると思います。


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