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女性研究者への支援

第5回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

金 東妍【東京大学大学院総合文化研究科 博士課程】

日中戦争・太平洋戦争期における「戦中詩」研究

 戦争詩とは「戦争を題材にした詩歌」のことである。戦時中「思想がない」「事実の描写にとどまっている」などの理由で詩壇の中心から貶められた戦争詩は、戦後、正当に議論・評価される場を失った。しかし『ガダルカナル戦詩集』はもとより、日中戦争初期に詠まれた戦争詩の学問的な研究価値は非常に高い。強いられた戦争に向き合わざるを得なかった青年たちの声。その声から現代的な意味を発見することが、本研究の目的である。詩の世界にとどまらず、広く現代そして未来について展望していく上でも、詩史の狭間で埋もれていた戦争詩に改めて光を当てることの意義は決して小さくないと考える。

【受賞の言葉】
 留学生夫婦として子育てと研究を両立させるために日々奮闘していますが、子どもたちの笑顔と、指導教員をはじめとした研究仲間の励ましに支えられて、これまで研究活動を続けることができました。母でありながら研究者としての道を歩むことの厳しさを実感することも少なくありませんが、本助成に選ばれたことで、何よりも心強い励ましと勇気をいただいた気がしています。助成対象に選んでいただき、心より感謝しています。

受賞後の様子

 病弱な子供たちのため研究を中断すべきかと悩みの多い日々でしたが、受賞により悩みと迷いがなくなり、一歩一歩でも諦めず前に進むことが大事だと自分を励ますことができるようになりました。資料の調査と確保は助成のおかげで順調に進んでおります。今後は、博士論文に向けて更なる努力を重ねていきたいと思います。
 子供たちはよく育っています。男の子の双子なので時々手に負えないこともありますが、子供がいるからこそ元気をもらい、勇気を出して前進することもできるので感謝しています。これからも夫とともに子供たちの無事な成長を信じ、周りの支えと絆を大切にしながら頑張っていきたいと思っています。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 研究環境の変化は何よりも経済的に、そして心理的に余裕を持てるようになったことです。二人の子どもがいる留学生夫婦として、経済的な不安定さは大きなストレスでした。しかし、この2年間はそういう心配がなく安定的に生活することができました。子育てをしながら自分の信念を貫いてきましたが、子どもたちを犠牲にし、自分の満足のために研究をしているのではないかと悩んだこともありました。本助成に選ばれたあとはそういう不安感はなくなり、伸び伸びと自分の研究に集中することができました。さらに研究者としての人生の転換となりました。これからも今の気持ちを大事にしてより頑張っていきたいと思います。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 私たち夫婦は、留学生として来日し、双子の子どもを生後3ケ月から保育園に預けて、育児と研究を並行しておこなってきました。子どもが入退院を繰り返し、研究を中断することも考えました。そんな中で本プロジェクトに出会いました。現在は、子どもたちは保育園児から小学校生になり、以前より体調を崩す回数は減りました。これからも子どもたちの成長を見守りながら、 母として、研究者として、そして一人の人間として、更なる努力を重ねていきたいと思っています。
◆女性研究者の環境改善
 子育てをしながら研究を続けている女性研究者にとって大事なのは研究と育児が両立できる環境作りにあると思います。なかでも家族の理解と協調が重要です。一方、制度的な支援も大切だと思います。安定した研究の環境が得られるためには安心して子どもを預けられる施設がなければなりません。また、病気になったときに、子どもを預けられる施設の拡充と、派遣看護の制度も必要だと思います。


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