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女性研究者への支援

第5回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

清水 文枝【明治大学大学院政治経済学研究科 博士後期課程】

在外米軍基地と米国の安全保障戦略

 日本と同じ島国であるフィリピンにはかつてアジア最大級の米軍基地が存在した。1991年にフィリピン議会が基地の継続を拒否したため米軍は撤退したが、撤退後も両国は安全保障の面において良好な関係を維持している。基地問題に悩む日本が、米国とフィリピンの関係から学ぶべきことは多いと考える。米政府の公文書をもとに、同国における在比米軍基地の戦略上の位置付け、ならびに基地を介したフィリピンとの同盟関係について検証する。そして米国の安全保障戦略の分析を通じて、日本が米国との同盟関係を今後どのように構築すべきかを導き出したいと考えている。

【受賞の言葉】
 子どもとの時間を大切にすれば研究が滞り、逆に研究時間を増やせば子育てがおろそかになるのではないかと、ジレンマに悩むこともありました。そのような中、本プロジェクトを通して、子育てをしながら様々な環境で頑張っている女性研究者がいることを知り大きな勇気をいただきました。推薦して下さった先生や所属長に感謝するとともに、支えてくれる家族のためにも、研究に一層励みたいと思っています。

受賞後の様子

 受賞後、知人や親戚からお祝いの連絡を頂いたほか、ご近所の方が私が研究者であることを知り、子どもの送迎を申し出て下さったこともありました。
 受賞による最も大きな変化は、子どもが私の研究について理解してくれたことです。助成金で子どもを連れ、2012年にアメリカで現地調査を行いましたが、現地調査の様子やアメリカから持ち帰った資料の分析作業の様子などから、子どもは幼いながらに私がどんな研究をしているのかを理解したようです。以降、学会や研究会などで私が不在にすることに対しても、子どもの抵抗がなくなってきたように思えます。
 今後フィリピンでの現地調査を予定しており、アメリカでの現地調査の結果と照合した上で論文を作成し、資料分析と並行して博士論文の執筆を行っていきます。2013年10月の学位論文提出を目標にしています。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 私の研究では海外の現地での調査が欠かせませんが、本助成によって、3回にわたる米国での史料調査、沖縄米軍基地の現地調査、中国・上海での研究報告を行うことができました。研究を始めた頃から現地調査等で数日間、長い時は3週間留守にすることがあり、幼い子どもを残して国内外で調査活動をすることに後ろめたさを感じていましたが、本助成の受賞を通して、研究に対する周囲の理解と協力を得られるようになりました。また、子どもを連れて米国にて史料調査を行うというとても貴重な機会をいただいたことにも感謝しています。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 これまでは研究と子育てに十分な時間を確保できず、どちらも中途半端になっているのではないかと感じていました。本助成によって子どもを米国での調査に連れて行ったことにより、子どもが私の研究を理解するようになり、研究と子育てとの両立を模索する私にとっても、海外調査等で長期に留守にすることにより精神的にダメージを受けていた子どもにとっても大きな転機がもたらされました。 また、研究について子どもとの相互理解を得られたことによって、私も精神的に余裕ができ、研究と子育ての時間にメリハリが生まれ、両立を楽しむようにしようと思えるようになりました。
◆女性研究者の環境改善
 子育てと研究を両立するためには、子育てをサポートしてくれる人材や託児施設が不可欠だと思います。就学前であれば「保育園」などの施設はありますが、就学後は学童保育などの一部施設に限られますので、児童を保育する施設が少ないと思います。子どもを1人で留守番させることが違法である欧米では、シッター制度が充実し、シンクタンクや大学内に託児施設があるそうです。また、子どもを持つ女性研究者間のコミュニティが存在するようで、当番制で女性研究者間において子どもを預かるということも行われていることを知りました。欧米の女性研究者の数は日本に比べてかなり多いことも背景にはあると思いますが、このようなコミュニティが日本にも誕生し、気軽に活用できることを期待しています。


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