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女性研究者への支援

第5回女性研究者への支援 過去の受賞者を紹介いたします

西野 範子【金沢大学国際文化資源学研究センター】

文化資源学の実践―ベトナム、ハノイ、キムラン窯業村を事例として―

 1995年からベトナムで行ってきた研究も一定の成果を挙げ、現在は、その成果を実地で検証していく段階へと進んでいる。その具体的な活動の一つであるキムラン村立博物館建設プロジェクトは、ベトナム国内で伝統的技術や文化の伝承が行われなくなっている現況に鑑み、村落の次世代の人々が村の伝統を視聴覚的に学べる場を作るべく立ち上げた。そこでは、ベトナム村落における窯業村の位置付けから、広くアジアの中でのキムラン村の位置付けまでもが理解できるような展示設計を心がけている。これまでの研究を社会に還元するために、こうした活動を通じて、文化資源学という新たな学問を「実践」していきたいと考えている。

【受賞の言葉】
 現在、歴史や文化に対する関心が低くなっているように感じます。文化は生活に潤いをもたらすものであり、子どもを育てる中で「家庭」という生活文化の重要性を改めて実感しています。二人の男の子の子育てと研究の両立はとても大変なのですが、母になったからこそ、研究面で理解できたことも多いです。研究を通じて、文化の重要性を発信していきたいと思っています。このたびは、ありがとうございました。

受賞後の様子

 ひさしぶりの明るい知らせに我が家に笑いが増えました。私自身、家族のために生活することで精一杯の状況でしたが、受賞を機にもう一度、公共のために自分の力を発揮しようという意欲がわいてきました。これが私にとって非常に大きな精神的な変化でした。夫婦同業者であり、今までは夫のほうが主体であったのですが受賞を機に、私の地道な作業を夫も認めてくれるようになり、夫が子供の送り迎えなどを行い、私が独自で調査に行く機会や時間も取れるようになりました。
 また、下の子供は、ベトナムのローカルの幼稚園に通っていたのですが、英語とベトナム語のバイリンガルスクールに移ることが出来ました。本人も「(前は子どもが多くて園庭が使えなかったが)今は休み時間、園庭で遊ぶことができて嬉しい」と喜んでいます。

助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化
 本プロジェクトの研究支援を受けることで、家族が研究活動に、時間を割くのを認めてくれるようになりました。やはり研究費があり、活動が社会に必要と認められることは、研究を続けていく上で、非常に大切な要素なのだと思います。今まで、私が子どもの面倒をみており、私が外に出られる環境が少なかったのですが、このプロジェクトのおかげで、家族が私自身の活動を理解してくれたように思います。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
 地元密着型で、現地の幼稚園に通ってきた息子たちは、ベトナムの現地語にも生活・文化にも慣れ親しんできました。長男はハノイで生活することにより、現代社会を感じ取ったようで、自分から英語の学校に行きたいと言うようになりました。本人曰く、「これから必ず英語が必要になってくるから」だそうです。小学校3年生で、そのようなことを感覚的に理解したことに驚くとともに、その気持ちに答えることにしました。母国語での思考に関して心配も多く残りますが、日本にいてはそのような気持ちは感じなかったかもしれず、この機会を大切にしたいと捉えました。
◆女性研究者の環境改善
 研究を続けている女性にとって、研究に集中する時間とその経費、またその仕事に意義を感じさせてくれる社会的な場が必要だと思います。そのような場がなければ、モチベーションを高めて、研究を高めていくことは難しいと感じています。しかし同時に、子どもに対する心配は、専業主婦と変わるところはなく、母親として、子どもにはできるだけ、幅広くいろいろなことを教育してあげたいと考えています。ただ、働く女性には時間が限られていますので、子どもたちを放っておくと、ゲームやコンピュータで遊んでいるのが実情となっており、そのような子どもたちを支援してくれる、また、子どもたちが行きたいと思う魅力的なコミュニティがあるといいと思います。


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