● 当事者・経験者だからこそわかること
鹿児島県では今、ひとり親の家庭が増えています。祖父母や親戚など頼れる人が近くにいないケースも多く、ひとり親家庭の孤立化が大きな問題になっています。実は、私自身も離婚経験があり、シングルマザーの不安や苦労を身をもって体験するとともに、だからこそ、ひとり親家庭に対する支援の必要性を強く感じてきました。
私たちの活動の柱である、ひとり親家庭の支援事業に携わるスタッフは、ボランティアで参加してくれている子育て経験者やシングルマザーたち。同じ悩みを共有する者として親身になって、さまざまな問題の解決に努めています。公共のサービスだけではどうしても行き届かない部分を、当事者の目線で補っていくところに、私たちの活動の意義はあると思っています。
|
● ひとり親家庭の子どもたちと高齢者を結びつける
ひとり親家庭の支援策として特に力を入れているのが、「イクジイ」ならぬ、「里爺・里婆事業」です。これは、寂しく過ごすことの多いひとり親家庭の子どもたちと、孫と離れて暮らす元気な高齢者をマッチングさせる試みで、双方にとってメリットのある活動としてご好評いただいています。
子どもたちは里爺・里婆から昔の遊びなどを教わり、里爺・里婆は子どもたちとのふれあいを通じて生きがいを得ることができます。また、シングルマザーにとっても、すぐ近くに頼れる人がいるということで、心の支えになっているようです。
なかには、食事会や誕生会、あるいは運動会や発表会といった学校行事なども一緒に楽しんでいる方たちもいて、本当の家族のような交流が育まれています。
|
● 「里爺・里婆事業」を広く全国へ
孤立しがちなひとり親家庭の問題、そして高齢者の生きがいや社会参加の問題は、ここ鹿児島だけでなく、広く全国に共通する問題だと思っています。その意味でも、子育て支援と高齢者支援の両方の側面を持った「里爺・里婆事業」に対するニーズは、他の地域にもあると考えています。
今後は、私たちの活動を多くの人たちに知っていただけるよう、積極的に情報発信をしていきたいと思っています。それによって、悩みを抱えているシングルマザー、寂しい思いをしている子どもたち、そして引きこもりがちな高齢者たちに、元気に、前向きになってもらえればうれしいです。
|