● 地域が抱える課題を解決するために
東照宮や鬼怒川温泉などを擁する日光市は全国有数の観光地であり、他県からの転入者も含めて多くの人たちが観光業に携わっています。しかし景気に左右されやすい観光業は、就労環境が不安定であることに加えて仕事が夜間に及ぶこともあるため、育児との両立が難しい状況に置かれている家庭も多く、育児放棄や児童虐待のリスクが高いことが地域の課題となっています。
そうした課題を地域の力で解決していこうと、行政を交えた有志による勉強会が発足しました。その成果として、児童相談所などと連携しながら、子どもの虐待に関する相談対応ならびに一時預かり(ショートステイ)を行うようになったのが、私たちの活動の出発点です。
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● 目指すのは、子どもたちの居場所づくりと家庭の生活力向上
子どもたちを家や学校まで迎えに行き、洗濯・食事・入浴といった必要な養育を補い、夜には家まで送り届けるというのが、『居場所』の基本的な流れです。利用に際しては親の同意が必要になりますが、別居を基本とする通常の児童養護施設とは異なり、私たちの『居場所』では親子が生活を共にすることができるため、心理的な抵抗感も少なく、より気軽に参加していただけるようです。
また、子どもたちに対して居場所を提供するとともに、子育て力や生活力を高めるためのさまざまなアドバイスを行うことで、親自身の意識変革も促しています。子どもだけでも親だけでもなく、双方を支援することによって家庭全体の生活を向上させていくことが、私たちの目指すところです。
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● 子どもも親も受け入れて支援していきたい
複雑な事情・問題をはらんだ相談が日々多く寄せられますが、そこに虐待やDVなどが存在しないのであれば、親子が一緒に生活する中で問題の解決に取り組む方が効果的であると、私たちは考えています。放課後の一時預かりである『居場所』も、用意した施設に入居してスタッフのサポートを受けながら親子で暮らしてもらうステップハウスも、そうした考えのもとに行っています。
育児放棄をしてしまう親を責めるのではなく寄り添い、「だいじょうぶ」という言葉をかけることによって、固まった心をほぐしてあげる。子どもはもちろん、親も受け入れ、支援していく活動を今後も続けていきたいと思っています。
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