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女性研究者への支援

第6回

スミセイ女性研究者支援 受賞者

田川 麻央 お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 比較社会文化学専攻
研究テーマ 第二言語での日本語学習者の読解過程 日本語学習者の読解過程における要点関係図作成活動の役割

現在、第二言語としての日本語読解教育の現場では、日本語学習者への適切な読解スキルの特定と具体的な指導が求められている。本研究では、日本語読解過程において文章の要点関係を表す図を作成する活動の効果について明らかにする。研究成果をもとに日本語での読解指導モデルを立て、教師や学習者が使用できる教材作成など日本語読解教育の現場に貢献したいと考えている。

受賞の言葉
このたびは助成の対象に選んでいただき、大変光栄です。これまで、いかに子どもとの時間を大切にし、研究を前進させるか試行錯誤しながら奮闘して参りました。いつもサポートしてくれる夫をはじめ、ご指導くださる大学の先生方とゼミ仲間、調査に協力してくださる日本語学校の先生方と学生の皆様、並びに子どもがお世話になっている保育園の先生方に心より感謝申し上げます。 受賞に恥じぬよう、今後とも研究と育児の両立に努力する所存です。
受賞後の様子
 受賞後、多くの方からお祝いの言葉とともに励ましの言葉をいただきました。日本語教育の業界には、子育てと研究を両立してきた先輩が数多くいらっしゃいます。その方々からさまざまな経験をお聞きする機会が増えました。受賞を機に、学生の身分で研究と子育てを両立してもよいのかどうか悩み続けていたことから解放され、自信をもって「両立しよう」と思えるようになりました。そのため、研究が大変な時には自分から周囲に協力を求め、助けてもらっています。受賞後は、時間や経済面だけでなく、精神的にも楽になりました。子どもは3歳になり、お母さんが忙しくしているのを少しずつ理解し、応援してくれるようになりました。博士論文審査会の朝も、「ママがんばってね。私は保育園がんばるよ」と励ましてくれました。今後も、子どもとしっかりコミュニケーションをとってがんばっていきたいと思います。
助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化

 本助成によって、まとまった研究時間を確保することができました。成果としては、論文の執筆と発表、国際学会での発表、博士号の取得が挙げられます。論文の執筆は、締め切りが迫ってくると時間的、精神的な余裕がなくなってしまいますが、時間外保育を依頼することで、研究と子育てを両立することができました。学会発表、調査旅行で海外へ行く際には、地方に住む母を呼び、夫の育児補助を依頼することで、安心して研究活動に専念できました。本助成のおかげで大幅に研究が前進し、博士号の取得、大学への就職も実現することができました。

◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード

 助成開始時2歳だった娘は、毎朝、保育園に送っていくとき、母親と離れるのが悲しくて泣いてばかりでした。しかし2年経った今は、自分からお友達や先生の中に溶け込んでいき、元気よく「いってらっしゃい、がんばってね」と言えるようになりました。また、母親がどんな仕事をしているのかにも興味を持つようになり、帰宅後には、私が職場でどのように過ごしたのか、尋ねてくるようになりました。

◆女性研究者の環境改善

 女性研究者が研究を継続しながら出産と育児を両立していくためには、落ち着いて研究できる環境と社会への周知が望まれます。家族や保育園など周りの人の理解と協力を得ていくこと、および安定した雇用のもとで落ち着いて研究できる環境を整えていくことが必要だと思います。それとともに、出産・子育てをしながら研究を継続する女性研究者について社会に知ってもらうことが環境改善につながると期待します。

主催:住友生命保険相互会社 お問合せ先:「未来を強くする子育てプロジェクト」事務局 TEL:03(3265)2283(平日10:00〜17:30)