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女性研究者への支援

第6回

スミセイ女性研究者支援 受賞者

田村 知栄子 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 ヒューマン・ケア科学専攻
研究テーマ 未就学児をもつ母親の育児ストレス軽減のためのストレスマネジメントプログラムの構築とその効果に関する研究

我が国において育児に不安を抱える母親が多く報告されている。育児不安は子どもへの悪影響や児童虐待につながる可能性もあり、育児不安の軽減は緊要な課題である。自分らしい生き方を見出す手がかりとして子育てを捉えなおし、母親の不安感やストレスが軽減されて、育児を楽しんでいけるよう、育児のストレスマネジメントにつながる研究を進めていきたい。

受賞の言葉
シングルマザーとして、研究、仕事、育児に日々奮闘しています。正直、経済的、精神的、身体的に困難で何度研究を断念しようと思ったことでしょうか。研究を続けてきた理由は、研究を通して一人でも多くのお母さんたちがいきいきと輝いてほしいこと。そして、私を信じて愛情いっぱいの応援をし続けてくれた家族の笑顔のためです。助成対象として評価していただいたことに感謝します。今後の研究への大きなモチベーションとなりました。
受賞後の様子
 研究における経済的援助を得られたおかげで、環境設備に投資でき、効率的に研究時間の確保ができるようになったため、今までの研究成果を学位論文にまとめることができました。また、受賞したことにより、周囲の人々が私の研究内容に興味を持ってくれるようになり、非常に嬉しく思います。私の親も、私がどのような研究をして、成果がどのようになっているかをこれまでなかなか理解できなかったようですが、今回の受賞でほっとしたようです。娘もママががんばったから受賞できたと誇りに思えたらしく、これまで以上に応援してくれるようになりました。授賞式には家族で参加でき、周りは笑顔でいっぱいになりました。娘は今年から小学校に入学して、たくさん勉強をするようになりました。休日は母娘が一緒に机に向かうことも増えました。一緒に頑張れることで、お互いへのよい影響を日々感じています。
助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化

 本プロジェクトにより、大きな変化が3つありました。第一に、自分の研究者としての自信および研究に対しての大きな自信が持てたことです。自分の研究に対して、研究者として悩んだことも多々ありましたが、評価されたのだと思えるとともに、母親をしながらの研究者であることも、自信を持つことへの後押しになりました。第二に、経済的に余裕ができたことです。研究室に出向かなくても、分析できる統計ソフトを購入したり、アルバイトを雇ったりすることができました。第三に、幅広いみなさまに研究の内容をシェアできたことです。机上の論理だけに終わらず、色々な方々から意見をいただいたり感想をいただいたりする機会が増えたことは本当にありがたかったです。

◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード

 子どもは小学生になりました。自身も勉強することになり、私の仕事も勉強の延長線上なのかな?と思っているようです。助成期間中に学位を取得し、学位授与式には家族で出席しました。私が専攻長賞を受賞した姿を見た子どもは、一つのことを一生懸命やり遂げると賞がもらえると思ったようです。学位論文に取り組む大変さを小さい頃から見ていたので、本当に喜んでくれました。最近では、自ら「研究者になって、困っている人たちを助けたい!」と言うようになりました。

◆女性研究者の環境改善

 女性研究者も増え、母親になっても研究を続ける方々も多いです。しかしながら、まだ女性だけが困難を抱えているように思えます。大学側も男女共同参画などを行っていますが、ただの制度導入だけになっている感が否めません。私は「シングルマザー」という立場なのですが、まだまだマイノリティの立場だと痛感することも多くあります。女性として、母親として、個人の状況は違うので、個別な対応が必要かなと思います。大学などに、ロールモデルになる方も多いかと思うので、そういう方達にメンター(助言者)になっていただけると心強いかと思います。企業では、女性活用が企業育成の大きな鍵と叫ばれて久しいですが、アカデミックな場でこそ女性活用を目指していただきたいです。

主催:住友生命保険相互会社 お問合せ先:「未来を強くする子育てプロジェクト」事務局 TEL:03(3265)2283(平日10:00〜17:30)