◆研究成果・研究環境の変化
助成金申請時の目標として国内学会へ2回、国際学会へ1回参加することを掲げておりましたが、国内学会へ3回、国際学会へ1回参加できました。新しく参加した日本機械学会は分野が異なる印象の学会ですが、私の研究テーマが受け入れられただけでなく、2014年3月の本助成下での最後の発表が、日本機械学会生産システム部門・部門賞を受賞したことは、それだけこの研究が注目度・重要性の高い分野であると自負しております。研究対象であるセル生産システムの製造現場は驚くほど女性が活躍している作業現場です。2年目に学術振興会の特別研究員に内定した為、本プロジェクトの助成は1年で辞退することになりましたが、これからは『研究』を通して子を持つ女性も活躍できる研究環境を模索するとともに『研究成果』を通して製造現場で働く女性(ママ達)を応援できたらと思っています。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
今まで学会報告の時は、娘を近くの託児施設に預け自分が報告するセッションのみ参加するだけでしたが、助成後は金銭的に余裕ができ、託児施設を長時間利用して時間を気にせず研究に関係する全てのセッションに参加できるようになりました。普段の作業は研究室で行っていますが、自宅でも作業を行える環境を整え、自宅で娘と過ごす時間を増やすことも出来ました。娘も「おしごと」と言って、絵本を読んだりお絵かきをしたりするようになりました。保育所の修了アルバムには「しょうらいのゆめ」として「かがくしゃ」と書いてあり、母親の仕事に憧れを持って見つめてくれていると知って胸が熱くなりました。
◆女性研究者の環境改善
自宅に研究環境を構築する一方、研究が佳境に入るにつれて、土日に娘連れで研究室に行くことも増えました。研究室の学生たちも最初は戸惑っていたものの、自然とその状況を受け入れてくれるようになりました。母親にとって、生活の中で仕事と育児を明確に切り分けるのはなかなか難しい側面があります。子どもと一緒にいる空間の中であたりまえのように研究活動が行えるのは幸せなことだと感じています。また、学会後に行われる懇親会には積極的に娘連れで参加するようにしています。育児アピールではありませんが、研究者にもいろいろな人が居るという事を示す一番単純で判り易い方法ですし、セッション中に託児施設でがんばった娘へのご褒美もかねています。
国や社会に大きな意識変化を求めるばかりでなく、小さなことでもこちらから積極的に働きかけ、ささやかな実例を積み重ねていくことも大切だと思います。
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