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女性研究者への支援

第6回

スミセイ女性研究者支援 受賞者

若佐 美奈子 京都大学大学院 教育学研究科 臨床教育学専攻
研究テーマ 心理臨床における無意識的空想とそれへのセラピストの影響に関する研究−女性セラピストの妊娠・出産に注目して−

精神分析的心理療法においては、治療者と患者の無意識的な関わり合いが重要であり、治療者が妊娠・出産する場合、患者の無意識的空想を刺激することは避けられない。にもかかわらず過去の研究は少なく、治療者の妊娠・出産について否定的な影響を指摘するにとどまる。本研究では、海外の先行研究を包括的にレビューし、自身の治療経験を生かして肯定的な影響も含めた詳細な検討を行う。

受賞の言葉
当初は、臨床・研究と育児の両立において、一方が他方の犠牲にならないようにと力が入り、苦労しましたが、両者に真剣に向き合えば、お互いがお互いの糧となることに気付きました。女性研究者であるという現実的な限界を見極めながらも、納得のいくまで取り組む姿勢を持ち続けられるのは、夫の励ましと協力、子どもたちや周囲の皆様の理解のおかげです。今回の受賞に感謝し、社会に貢献する研究ができるよう、より一層励みたいと思います。
受賞後の様子
 授賞式の時にお腹にいた三女が、4月に元気に生まれました。長女の入学、次女の入園、そして三女の誕生が重なり、めでたいながらも慌ただしい春でした。私も夫も娘たちも、三女の健やかな成長に元気をもらい、家族の絆が一層強くなったように思います。ただ、子どもが3人になると、それぞれの気持ちを十分聴いて受け止めてあげる時間がないと悩むことも増えました。特に集中して論文執筆している時は、娘たちに負担を強いていると感じることもあります。しかし、日々成長している娘たちの力を信じつつ頑張っています。受賞後、夫や親族は、研究者と母親業の両立を探る私の生き方に、これまで以上に関心を持ち、協力してくれています。私自身は、助成という形で研究が認められていることに誇りを持ち、より前向きに積極的に研究に取り組めています。
助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化

 1年目の4月に出産したため、3人の育児を優先する方針として大学院は1年間休学しました。しかし、論文を執筆するため研究活動は継続しておりました。11月には日本精神分析学会で症例発表を行い、年度の最後には、指導教員からの論文指導を受け、論文を投稿できました。

 2年目に京都大学大学院に復学しました。本学教育学研究科に「スーパーヴィジョンにおける育ちと学び―精神分析および発達行動学の概念を応用して―」という論文を投稿し、原著として採択されました。さらに、「親になることの難しさと子育て支援について」(共著)という論文を投稿し、採択されました。年度最後に投稿した論文「治療者の妊娠と「胎内の赤ん坊」空想」は、「精神分析研究」の原著として採択されました。

◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード

 幼い三女は、保育園に入園してからたくさんの病気にかかりました。そのため、大学院の授業への出席と博士論文の執筆、日々の臨床活動に加え、3人分の子どもたちの行事や授業参観などをこなすのは、本当に至難の業でした。それでも三姉妹がお互い支え合い、成長する様子を目の当たりにして私もよく助けられました。長女、次女は、私の仕事に関心を持ち、「京大、頑張って」「論文できた?」「今日は病院(臨床)だよね」と声をかけてくれるようになりました。仕事柄、具体的な事例を子どもたちに話すことはできませんが、私が、患者さん方のこころの痛みや苦しみを理解し、患者さんが生きることを支えていく営みへの情熱を伝えると、子どもなりに、社会や人間関係に関心をもち、将来の職業なども考えてくれるようになったのが、うれしい進展でした。

◆女性研究者の環境改善

 女性研究者における子育ての問題は、子どもの年齢および人数によって、異なるように思います。特に、子どもが0歳、1歳の頃は、子どもの発達という視点から考えると、研究への没頭は少し控えることがあるように思います。私自身、第3子の出産で1年間休学しましたが、この助成金がなければ、厳しい選択であったと思います。子育て中も論文を書き、投稿し続けることが、文系の研究者には最も重要であると思います。そのための時間的経済的な支援がもっと広がってほしいと願います。

主催:住友生命保険相互会社 お問合せ先:「未来を強くする子育てプロジェクト」事務局 TEL:03(3265)2283(平日10:00〜17:30)


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