◆研究成果・研究環境の変化
本助成をいただいたことで、1年目は集中して博士論文の執筆に取り組むことができました。その結果、2年目に無事博士号を取得することができました。
2年間を通じて、最も助かったと感じられるのは、研究遂行に必要な図書購入・複写費用と旅費の支出ができたことです。これには参加しておきたい、これは目にしておかなければならないと思った時に即行動に移し、学会や研究会、国内外での史資料調査旅行等に積極的に出向くことで、人やモノとの豊かな研究上の交流を図ることができました。このことは研究の進展に大いに役立ち、博士論文執筆後の新たな研究課題にも着手することができました。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
受賞時4歳だった娘も小学1年生となり、あっという間の2年間でした。娘は、学校という新しい環境に少しずつ馴染みながら、家庭の外にも自分の居場所を築いていっています。
助成2年目のフランス現地調査には、娘も同行しました。セーヌ川沿いにそびえ立つフランス国立図書館のモダンな外観を眺めながら「ママンはここでお仕事するんだよ」と話し聞かせたり、資料館を訪れるためリモージュに向かう列車の車窓からフランスの田園風景を堪能し、一緒に羊や牛の数を数えたりしたことは、かけがえのない思い出となりました。
◆女性研究者の環境改善
人文・社会科学分野は、他分野より博士号取得に時間がかかる傾向にあるため、オーバードクターという不安定な立場のまま長期間を過ごす人が多くいるようです。そうした中で子どもを育てている女性研究者は、本人のがんばりや周囲の協力だけではどうにも解決できない数々の困難や孤独を抱えていると思います。こうした状況を改善していくためにも、特定の分野に特化した本プロジェクトのような支援が広がっていくことを切に望みます。
|