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女性研究者への支援

第8回

スミセイ女性研究者奨励賞 受賞者

神谷 貴子 名古屋大学大学院 文学研究科 人文学専攻 西洋史専門
研究テーマ 中世後期都市フリブールにおける市民層

中世ヨーロッパにおいて、諸侯や司教の統治のもと成立した都市の多くは、中世後期になると新たな支配層として台頭した市民の自治によって繁栄の時代を迎えた。近年、市民登録簿と呼ばれる史料類型が注目されているが、その中でもスイスの都市フリブールの市民登録簿は、詳細な情報を含んでおり、市民の構成のみならず、都市社会の微細にわたる状況が把握できる。本研究は、この史料群の分析によって、中世後期の市民層の実態を明らかにすることを目的としている。

受賞の言葉
これまで周りの理解や協力を得ながら、二人の子どもの子育てと研究に励んできました。とくに場面緘黙症を抱えた娘の学校生活に伴走しながら研究を続けることに、いつも葛藤を覚えてきました。この賞を通して、母親でありながら研究者として歩むことを肯定的に認められたことは、経済的な側面だけでなく、心の大きな支えになり、勇気や希望を与えられました。子どもと一緒に私自身もまた成長する機会を与えられたことを心から感謝しています。
受賞後の様子
 この受賞を機に、周囲の人たちに自分の研究を広く知ってもらうことができ、研究を続ける意義も認めてもらえるようになったと感じています。
 今年度は、長女の支援について、家庭、学校、特別支援学級、専門機関が集まって話し合い、緊密な連携のもと、さまざまな取組みを進めることができています。日本ではこのような連携がまだ十分に整っていないのが現状です。自分たちの経験が他の緘黙児のご家庭にとって少しでもヒントになればと思い、積極的に情報提供しています。
 子どもがいながら研究を続けている姿に、周りの女性から「励まされます」と声をかけられることもあり、それが自分にとって研究に邁進する力や使命感ともなっています。何より、子育てしながら研究を続けることを認めていただいたことが、母親であり研究者である自分に大きな自信を与えてくれました。これからも、母親として研究者として日々成長したいと思います。
助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化

 助成を受ける前は、学会参加や現地調査の際に子どもをどこに預けるか、預ける際の経済的な負担、子どもたちの心理的負担などで悩んでいましたが、この助成によってそのような心配が減り、助成2年目には子どもと一緒に現地調査に行くこともできました。研究時間の確保にはあいかわらず苦労していますが、この助成によって母親でもあり研究者であることを自分でも肯定的に捉えられるようになり、積極的に研究発表や論文投稿にチャレンジできました。研究から離れて母親業を優先すべきだという悩みが常にありましたが、葛藤を乗り越える力強いサポートとなり、母親であり研究者であってもいいのだと背中を押していただいた思いがします。

◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード

 子どもの夏休みに合わせて親子で現地調査に行くことができました。子どもを伴って文書館に調査へ行くことが多々ありましたが、その際には現地の専門家や文書館員の方々が快く迎えてくれ、絵本を用意してくれたり、遊び場を提供してくれたりしました。貴重な文化財のある場所に、当然のように子どもたちを迎え入れ、快適に過ごせるように配慮して下さる姿勢に大変感心いたしました。私も子どもの様子を時折見ながら、安心して研究を進めることができ、子どもたちも母親の研究に触れる良い機会となりました。

◆女性研究者の環境改善

 研究者に短時間労働はありません。とはいえ、長時間研究に向き合うことも母親にはできません。女性研究者はこのジレンマに疲れ、ついに研究をあきらめてしまうことが多いと思います。そのうえ、子育てはそれぞれ内容が異なります。女性研究者一人ひとりのニーズに合わせたサポートとともに、男性研究者も育児に参加しやすい制度ができることを期待しています。出産だけに限らず、子育てを広くサポートして、研究を続けられる支援を広げてほしいと願っています。

主催:住友生命保険相互会社 お問合せ先:「未来を強くする子育てプロジェクト」事務局 TEL:03(3265)2283(平日10:00〜17:30)


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