◆研究成果・研究環境の変化
助成を受ける前は、学会参加や現地調査の際に子どもをどこに預けるか、預ける際の経済的な負担、子どもたちの心理的負担などで悩んでいましたが、この助成によってそのような心配が減り、助成2年目には子どもと一緒に現地調査に行くこともできました。研究時間の確保にはあいかわらず苦労していますが、この助成によって母親でもあり研究者であることを自分でも肯定的に捉えられるようになり、積極的に研究発表や論文投稿にチャレンジできました。研究から離れて母親業を優先すべきだという悩みが常にありましたが、葛藤を乗り越える力強いサポートとなり、母親であり研究者であってもいいのだと背中を押していただいた思いがします。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
子どもの夏休みに合わせて親子で現地調査に行くことができました。子どもを伴って文書館に調査へ行くことが多々ありましたが、その際には現地の専門家や文書館員の方々が快く迎えてくれ、絵本を用意してくれたり、遊び場を提供してくれたりしました。貴重な文化財のある場所に、当然のように子どもたちを迎え入れ、快適に過ごせるように配慮して下さる姿勢に大変感心いたしました。私も子どもの様子を時折見ながら、安心して研究を進めることができ、子どもたちも母親の研究に触れる良い機会となりました。
◆女性研究者の環境改善
研究者に短時間労働はありません。とはいえ、長時間研究に向き合うことも母親にはできません。女性研究者はこのジレンマに疲れ、ついに研究をあきらめてしまうことが多いと思います。そのうえ、子育てはそれぞれ内容が異なります。女性研究者一人ひとりのニーズに合わせたサポートとともに、男性研究者も育児に参加しやすい制度ができることを期待しています。出産だけに限らず、子育てを広くサポートして、研究を続けられる支援を広げてほしいと願っています。
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