◆研究成果・研究環境の変化
自信を持つこと、多くの資料に目を通せる環境を整えること。研究を続けるうえで、大切なこの2点を本助成のおかげで得ることができました。歴史の研究者は多くの資料をかなりの精度で読み込むことが必要で、時間と体力とそして何より資金が必要になります。貴重で、価値の高い資料は、簡単には手に入らず、古書や国会図書館を歩き回り、探して探してやっと手に入れることができます。幸いにして、私は子どもを保育園に入園させることができ、時間も資金も確保できました。保育を継続させていくうえで、助成金をいただいている研究者だと自信をもって口にできることは、非常に心強かったです。
◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード
下の子は5歳になり、上の子はまもなく10歳となります。気管支の弱かった上の子ですが、喘息発作もほとんど出なくなり、その変化に安堵しています。下の子はまだまだですが、上の子は少しずつ母親の仕事に興味が出てきたようで、書棚をのぞいては時折、資料の本を引っ張り出して読んでいることがあります。書棚には、扱っても良い本、古い資料で気をつけなければならない本などを雑多に挿しており、特に古いものは気をつけて読むように伝えていますが、扱い方に慌てて口を挟む場面もあります。こうしたこともまた、成長の一環だと感じています。
◆女性研究者の環境改善
周囲の友だちが次々と日本学術振興会の特別研究員となるなか、自身の年齢や育児中ゆえの研究時間の少なさもあり、申請書はまったく通らず、まるで足踏みをその場で続けているようでした。その状態から救ってもらえたのがこの賞の受賞です。受賞によって手に入れた、少しの自信と助成金をバネに、博士論文を書き上げることができました。この賞をいただけなかったら博士論文を書き上げることもできなかったかもしれません。心から感謝します。
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