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女性研究者への支援

第8回

スミセイ女性研究者奨励賞 受賞者

松井  生子 昭和薬科大学 非常勤講師
研究テーマ 仏教儀礼が醸成する民族の共生−在カンボジア・ベトナム人の宗教的実践と民族間関係に関する人類学的研究−

在カンボジアの少数派民族であるベトナム人は、多数派民族のクメール人を脅かす存在とみなされ、差別や迫害を受けてきた。このため彼らはクメール人に対し、距離を置いて接することが多かった。だが近年、調査地において、クメール人が信奉する上座仏教の儀礼にベトナム人が参加し、両者が関係を深める事象が見られる。本研究では、この儀礼参加の観察と聞き取りを通して、多数派民族と少数派民族が互いを理解し、共生する契機を探ることを目指す。

受賞の言葉
このたびは、助成対象に選んでいただき、ありがたく、またとても光栄に思っております。現在、夫が単身赴任中で、一人で小さな子どもを育てています。研究者として実績をつくらなければならない時期に、思うように研究のための時間を確保できず、現地調査や研究会参加もままならないことは、大きな負担となっていました。そのような状況の中、今回の受賞は、これからの研究と子育てに勇気を与えてくれるものでした。
受賞後の様子
 受賞は、夫や保育園の先生方に研究を理解してもらえるよい機会となり、2年ぶりにカンボジアで現地調査を行ったり、平日夕方開催の研究会に参加したりと、研究が大幅に進みました。8月に3歳になった子どもはまだイヤイヤ盛りで、何をするにしても手間と時間がかかりますが、研究が充実していると、子どもに対して余裕を持って接することができます。
 一人で子育てを行っている状況に変化はありませんが、助成で資金的にも時間的にも楽になり、研究と子育ての両方がサポートされている安心感があります。これまで、研究と子育て、非常勤講師の仕事で手一杯で、研究機関の常勤職に応募することは考えられませんでしたが、応募を考える余裕も出てきました。大変ありがたく感じています。
助成期間を終えて

◆研究成果・研究環境の変化

 子どもが1歳7カ月のときに夫が単身赴任したこともあり、研究より目の前の子どもを優先しなければならず、他の人に比べ出遅れているという思いや、出産前にはできていたことができなくなってしまった焦燥感がありました。そのようななかで受賞が決まり、表彰式で大日向雅美先生がおっしゃった「花の咲かない寒い日は根を下へ伸ばせ」という言葉が、とても心に響きました。自信と時間的・心理的余裕を得たことで、常勤の研究職にも応募できるようになりました。研究活動の基礎を固め、前に進んでいく力をいただいた2年間でした。

◆育児環境の変化、気づき、感想、印象的なエピソード

 調査のためカンボジアに渡航するとき、泣かれるのが嫌で留守にすることを出発前まで子どもに黙っていました。出発前日の夜になって、泣かれることを覚悟しながら「明日からいないけど、お父さんと留守番しておいてね」と言うと、泣かずに「ママいなくても楽しく過ごせるよ」という言葉が返ってきて、大変驚きました。出発当日は、有給休暇を取って子どもと過ごすことにしてくれた夫と共に、笑顔で見送ってくれました。心配して現地から電話したときも、明るい声でその日あったことを話し、楽しく生活している様子が伝わってきました。驚きとともに、子どもの成長を感じました。

◆女性研究者の環境改善

 研究と子育ての両方を支援する「未来を強くする子育てプロジェクト」は、新しい時代を拓く助成だと思いました。過去の実績ではなく、将来性を評価する方針も、とてもありがたかったです。子育て中の女性研究者の環境は少しずつ改善されていますが、その一方で非常勤講師の雇い止め、教育現場の長時間労働化など、不安を感じる事態が進行中です。将来的な学問の発展のために、研究・教育機関全体で研究者が安心して働くことができる条件を整える施策が必要であると感じます。

主催:住友生命保険相互会社 お問合せ先:「未来を強くする子育てプロジェクト」事務局 TEL:03(3265)2283(平日10:00〜17:30)


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