社外取締役メッセージ

山本取締役

社外取締役としてのご自身の役割について、どのようにお考えですか。

リスク管理をはじめとする経営の監督、経営計画への関与が大きな役割です。

 私は日本銀行に3 6 年間勤務し、その間、リーマンショックや東日本大震災の対応責任者を務めるなど、主に金融システムの健全性確保や危機管理業務に長い間携わりました。その後、メーカーや金融機関の社外取締役を務めるとともに、2019年に当社の社外取締役に就任し丸4年となりました。私に求められる役割として3つのことを意識しています。

 1つは、リスク管理の確認です。当社において資産運用は大きな事業の一つですので、金利変動や自然災害、昨今ではウクライナ情勢の世界経済への影響など、資産運用に関わるリスク管理のほか、2025年に予定されている経済価値ベースのソルベンシー規制への対応などを重点的に見ています。

 2つは、今述べたリスク管理を含む経営の監督です。よく「社外取締役は、経営のアドバイスやコンサルティングをする人」と見られがちですが、そうではありません。当社は指名委員会等設置会社であり、業務執行を基本的に執行役の方々に任せ、そのうえで執行役が日頃から正当な手続きに基づき、適正に事業を展開しているかを、ご契約者の皆さまに代わって監督することが社外取締役の役割です。

 3つは、経営計画の策定と進捗のフォローです。中長期の経営のあり方など、取締役会で意思決定すべき重要議案について、経営陣と議論を重ねます。また、今回策定された住友生命グループVision2030や中期経営計画について、その中身がどれだけ職員一人ひとりに腹落ちしているかを確認し、進捗をフォローしています。

取締役会の実効性評価、指名委員会の運営についてはいかがでしょうか。

実効性は高い水準です。指名委員会では「人を知る」ことを重視した運営を心がけています。

  取締役会の審議議案については、事前に必要な資料と説明が提供されています。また、重要経営課題等を議論する時間も十分に確保され、活発な意見が交わされています。取締役会以外にも、社外取締役で構成される経営協議会も頻繁に開催され、中長期の経営のあり方などの議論を重ねてきました。その成果は経営にしっかり反映されています。

 取締役会の実効性評価については、意思決定と監督の両面で正しく有効に機能していると評価しています。さらに改善が必要な点については今後も検討を重ねていくことにより、一層の実効性向上に貢献していきたいと思います。

 私は2023年7月から指名委員会および報酬委員会の委員長を務めています。指名委員会においては、代表執行役社長のサクセッションプラン検討と選任のほか、取締役の選任、執行役人事の適切性の確認等を行っています。また、その前提として取締役、執行役それぞれに必要な資質を議論して文章化するプロセスを毎年繰り返しています。人にかかわる話なので、私は「人を知る」ことを重視していきたいと考えています。皆さんが、どのような会社の将来像を意識しておられるのか。考え方や価値観をより深く理解すべく、充実した意見交換の時間が持てるよう心がけています。

長期ビジョンと実現に向けた取組みに対する評価をお聞かせください。

ウェルビーイングの実現は、全社一丸で進めるべき最も重要な取組みと捉えています。

  2023年3月に「住友生命グループVision2030」と新3か年計画「スミセイ中期経営計画2025」が策定されました。今回の出発点は、まず2030年のありたい姿を描いて、そこからバックキャストする形で2025年までの3か年計画を作りたいという執行の方々からの提案でした。目指すビジョンと、それを実現する実行計画との関係が明快で、かつ進め方も有効と評価し、取締役会あげて賛同しました。

 将来の住友生命はどのような姿が望ましいのか。住友生命の新たな価値提供とは何か。取締役会や社外取締役経営協議会で議論を深めるなかで、肝になったのは、日本の人口構成の大きな変化でした。いま日本では65歳以上の人口比率が上昇し、未曽有の少子化、長寿化が進んでいます。

 そうした長寿社会で求められるのは、身体的な健康だけでなく、精神的にも社会的にも健康で幸せな状態を実現することです。つまり、よりよく生きる=ウェルビーイングの追求をサポートすることが、住友生命の目指す姿だという結論に至りました。

 ウェルビーイングな社会を目指すためには、従来の保険の領域から一歩踏み出し、健康増進をはじめとした、より広い事業領域のサービスを展開していく必要があります。それと同時に、当社が独力で進めるのではなく、社外との連携・共創がぜひとも必要です。Vision2030の本質とは、すなわち、ウェルビーイングに共感していただける企業や自治体、社会と一緒に同じゴールを目指していくことであろうと私は捉えています。

 ウェルビーイングを支えるサービスの中核となる「Vitality」の浸透・普及のためにはデジタルとデータの活用が重要な軸となるので、そのシステム開発や利活用を担う人財の育成が不可欠です。この観点から「人財共育」と「デジタル&データ」を2つのエンジンとして、社長自ら人財共育本部とデジタル&データ本部の本部長を兼務し力強く推進されています。

 2030年のビジョン到達点において、ウェルビーイング価値提供顧客数2000万名とVitality会員数500万名を達成するという明確な目標もあります。ぜひ会社一丸となって2030年のありたい姿に向かって進んでいきたいと思います。

今後の住友生命に期待することは何ですか。

「Vitality」の可能性をさらに拡げ、健康長寿社会を支える企業としての成長を期待します。

 住友生命にあっては、「Vitality」という革新的な概念の商品を通じて、健康長寿の喜びをお客さまと共有しながら、事業を継続・発展させてほしいと思います。 

 実は私自身も「Vitality」に加入して丸2年になりますが、心身の健康を維持する上での効果を実感しています。また、営業職員の方々から、日頃どのような反響や手応えを感じているかを聞き取りするなかで、「自信を持ってお客さまにお勧めできます」という答えを数多くいただいています。お客さまに喜ばれることは、何より職員に勇気を与えます。この流れをぜひ大切にしてほしいと思います。さらに「Vitality」はデジタルなプラットフォームを活用する商品ですから、蓄積したデータの活用による新サービスの創出など、次のステージに向けた取組みにも大いに期待するところです。

 住友生命は「社会公共の福祉に貢献する」というパーパスを掲げ、「豊かで明るい健康長寿社会に貢献する」というミッションも提示しています。この言葉は、いわゆるサステナビリティと極めて近い概念です。事業を通じて健康長寿社会に貢献することが、そのまま社会・環境の持続可能性への貢献につながっていく。こうした考え方に私は深く共感しています。その考えはVision2030にも貫かれています。当社の果たすべき使命を確かな形にしていくことで、「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」として成長を続けてほしいと思います。